著者
松江 勇次 水田 一枝 古野 久美 吉田 智彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.490-496, 1991-12-05
被引用文献数
7

北部九州において栽培環境条件と米の食味と理化学的特性の関係を明らかにするために, 移植時期, 人為倒伏が食味と精米中のタンパク質含有率, アミロース含有率およびアミログラム特性に及ぼす影響について, 近年育成の良食味品種を供試して検討した. 移植時期の早晩の食味への影響が認められ, 移植時期が遅れるにしたがい食味は低下した. 特に晩植(7月5日植)では著しく食味が劣った. また, 品種別にみると, 移植時期の早晩による食味変動の大きい品種と小さい品種があった. 移植時期が遅れるにしたがってタンパク質含有率, アミロース含有率は増加し, 最高粘度, ブレークダウンは低下し, それらの増減程度は特に晩植で著しく大きかった. 移植時期が遅れることにより食味は低下したが, この場合タンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下がみられた. 倒伏による食味の低下程度は, 倒伏時期が早いほど大きかった. また, 倒伏によってタンパク質含有率およびアミロース含有率は増加するが, その増加程度は倒伏時期が早いほど大きく, 逆に最高粘度, ブレークダウンは倒伏によって低下し, 倒伏時期が早いほど低下程度は大きかった. 倒伏による食味低下の場合には, タンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下がみられた.