著者
若本 純子 吉田 ゆり 古野 愛 徳永 惇子
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.37-50, 2012-03-31

本稿では,著者らがチームで支援を行った高機能広汎性発達障害が疑われる不登校の中学生女子の事例をもとに,発達障害のプラクシスについて考察した。不登校を主訴に支援を開始した本例は,プレイセラピーでの特異な様相から,発達障害の可能性が浮上した。そこで,再度アセスメントを実施したところ,高機能広汎性発達障害の疑いが濃厚であると判断された。そこで,本例の本態障害に基づく困難をターゲットとするSSTへと支援を移行させた。また,高校受験が近づく中,英語と数学の学習支援を加え,チームによる多角的支援として継続した。その結果,本例は無事希望高校への進学を決め,支援は終結に至った。本例の経過から,発達障害に対する的確なアセスメントの必要性,そして中学生特有の発達課題を理解した上で多角的な支援を行う重要性が示唆された。