著者
吉井 洋一 鍋谷 隆史 諸橋 敬子 江川 和徳
出版者
新潟県農業総合研究所食品研究センター
雑誌
新潟県農業総合研究所食品研究センタ-研究報告 (ISSN:13441604)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-10, 2003-03

米を主原料として製造される米菓の形状と食感に新規性を持たせ,その多様化を図るため,ベーカリーオーブンを活用したスティック状米菓の製造法について検討した。(1)焼成にベーカリーオーブンを使用した場合,常法の原料処理では香りが焦げ臭くなり好ましくなかった。この焦げ臭の発生には,米粒中の水溶性蛋白質が関係していることが認められ,焦げ臭低減のためには水溶性蛋白質含量を60mg%程度まで減少させる必要があると考えられた。(2)精米を0.1%乳酸溶液に浸漬することにより,水溶性蛋白質を効率的に低減することが可能であった。(3)この水溶性蛋白質を低減させた米を,圧扁ロール製粉機により粉砕し,加水率38%で8分間蒸練を行い圧延成形後,付着性を低減させるために冷蔵する。これを7~8mmに裁断してベーカリーオーブンにて200℃で焼成を行うことにより,変形が少なくザクザクした食感を有するスティック状の米菓を製造することができた。(4)当該ベーカリーオーブン焼成米菓は,香気成分保持に優れる特長を有していた。(5)製造効率の上昇のためには,冷蔵工程の省力化が今後の課題と考えられた。