著者
伊藤 喜介 平松 和洋 加藤 岳人 柴田 佳久 吉原 基 青葉 太郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.1890-1895, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
17

症例は71歳,女性.特記すべき既往歴なし.10年前から緩徐に増大する腹部腫瘤を主訴に当院を受診した.腫瘤は児頭大で表面平滑,可動性は良好であった.腹部CT・MRIにて,膵鈎部尾側に接した10cm大の造影効果のある二層に分かれた境界明瞭な腫瘤を認めた.Castleman病などの良性腫瘍を疑い開腹術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜と連続性を認めたが,腫瘍の栄養血管のみを処理し,被膜を損傷することなく摘出した.病理組織学的検査の結果,内側は濾胞樹状細胞腫,外側はHV型Castleman病と診断した.二層に分かれるような発生形態を呈した,腹腔内原発の濾胞樹状細胞腫を伴うCastleman病の報告例はみられないため報告する.
著者
三竹 泰弘 平松 和洋 加藤 岳人 柴田 佳久 吉原 基 青葉 太郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2247-2251, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

症例は78歳の女性で横行結腸癌イレウスに対し,横行結腸切除術を施行した.病理診断は,中分化腺癌,SE(T4),ly1,v1,N0(0/7),H0,P0,M0,Stage IIであった.再発高リスク群であり,術後補助化学療法としてカペシタビンの投与を開始した.投与開始後,発熱性好中球減少症(Grade2),下痢(Grade3),口内炎(Grade3)を発症し入院となった.抗菌薬とG-CSF製剤の投与で発熱性好中球減少症は改善したが,腸炎が重篤化し敗血症性ショックとなった.末消血単核球でdihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)蛋白量を測定すると11.8U/mg proteinであり,DPD活性低下症と診断した.