著者
吉山 正章 伊東 禧男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.124-129, 1996-02-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

1. カカオ豆の中で発酵が不完全で収れん味を呈するパープル豆と発酵が充分なブラウン豆を比較した結果,パープル豆はブラウン豆に比べて多量のポリフェノールを含んでいることが示された.2. パープル豆に含まれているポリフェノールに由来する収れん味を抑制する酵素の選択を行った結果,カワラタケのポリフェノールオキシダーゼが有効であった.3. ポリフェノールオキシダーゼによる収れん味の抑制はポリフェノールの酸化重合反応による不溶性物質への変換やキノン蛋白質複合体形成が関与していることが示された.4. パープル豆をPPO処理する場合,予め蒸煮した豆を処理する方法が有効で,全ポリフェノール,フラバノール,プロアントシアニジンは処理前に比べて78%, 45%, 38%となり,収れん味は大きく軽減された.