著者
村田 卓士 久野 友子 穂積 正俊 玉井 浩 高木 雅博 上脇 達也 伊東 禧男
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.165-171, 1998-08-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
23
被引用文献数
4 7

卵殻カルシウムを添加したチョコレートおよび卵殻カルシウムを含まないチョコレートをヒトに投与し, 糞便中総脂質, 脂肪酸, カルシウムを測定するとともに, その安全性について検討を行った。1) 卵殻カルシウムを添加したチョコレート摂取群(Ca添加群) は, 卵殻カルシウムを含まないチョコレート摂取群 (コントロール群) に比して糞便中総脂質が有意に高値であった。2) 糞便中カルシウム濃度と糞便中総脂質濃度は, 有意な正の相関関係にあった。3) 脂肪酸分析の結果, Ca添加群は, コントロール群に比してパルミチン酸およびステアリン酸の吸収率が有意に低値であった。4) 試験期間中, 2群間で血清中各種脂質, カルシウム, リン, 脂溶性ビタミンに有意な変動はなかった。5) いずれのチョコレートの摂取期間中も重篤な副作用は認めなかった。以上より, ヒトにおいて卵殻カルシウムはチョコレート中に含まれる脂質の吸収抑制効果を示すことが示唆された。
著者
吉山 正章 伊東 禧男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.124-129, 1996-02-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

1. カカオ豆の中で発酵が不完全で収れん味を呈するパープル豆と発酵が充分なブラウン豆を比較した結果,パープル豆はブラウン豆に比べて多量のポリフェノールを含んでいることが示された.2. パープル豆に含まれているポリフェノールに由来する収れん味を抑制する酵素の選択を行った結果,カワラタケのポリフェノールオキシダーゼが有効であった.3. ポリフェノールオキシダーゼによる収れん味の抑制はポリフェノールの酸化重合反応による不溶性物質への変換やキノン蛋白質複合体形成が関与していることが示された.4. パープル豆をPPO処理する場合,予め蒸煮した豆を処理する方法が有効で,全ポリフェノール,フラバノール,プロアントシアニジンは処理前に比べて78%, 45%, 38%となり,収れん味は大きく軽減された.