著者
吉岡 由喜子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.153-163, 2015-03

文献を用いて検討した結果,初期の認知症高齢者は,認知症症状の自覚があり,ゆらぎながらもその変化に適応し,他者への配慮の他,自己の可能性を見出す力をも持っていた。しかし,それは家族と職員が感じている負担感とギャップがあった。その要因は,知識不足により認知症高齢者の力を過小に認識している可能性,認知症になった高齢者の変化に関して家族の適応が遅れている可能性,[世間一般のあるべき姿の枠内での行動]を認知症高齢者にも自己にも要求している可能性,ゆとりの無い援助,否定的感情が安全に表出できていないこと,などが示唆された。今後の看護基礎教育では,それらに対応できる力を養う必要がある。