著者
柏木 貴雄 稲垣 忠洋 来住 稔 日下 聡 鈴木 琢真 平田 珠希 岩井 正秀 吉岡 直樹 三橋 隆夫 山村 博平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.7, pp.2045-2047, 2012 (Released:2013-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は73歳,男性.昼食で自家栽培していた椎茸,人参,ゴボウ等の煮物を食べ,興奮,幻視,瞳孔散大等の抗コリン症状を認めた.同じ食事をした妻と長女も軽度興奮,口周囲の痺れ等の症状を認めたことより食中毒による抗コリン症状と考えた.経過観察にて翌日には症状は軽快した.患者と妻の血清,調理残品,原材料からアトロピン,スコポラミンを検出し,ゴボウとチョウセンアサガオの根との誤食によるチョウセンアサガオ食中毒と診断した.
著者
吉岡 直樹
出版者
慶応義塾大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

磁気特性を有する有機物質を設計することは新しい機能性物質の創世にもつながる重要な基礎課題である。本研究の目的は、安定ラジカル構造を規則的に導入した新規な共役高分子、水素結合連鎖を合成設計し、π電子系または水素結合を介したラジカルスピン間の磁気的な多重相互作用を目指した。本年度は剛直棒状なスピン連鎖の構築法の確立、連鎖の配列様式の解明を重点的に実施し以下の知見を見出した。(1)ラジカル中心として室温大気下で安定なアセチレン誘導体2,2-dip heny 1-3 haro-8-ethy nyl quinoline-1-oxylを合成し、Pd錯体触媒を用いてエチニル水素と環置換ハロゲンを温和な条件下でクロスカップリングし厳密に頭尾結合が規制されたポリラジカル高分子を合成したが、溶解性が低く高分子量体は得られなかった。(2)イミダゾールがプロトン供与性部位と受容性部位を具有することに着目して、2-位にラジカル中心として4,4,5,5-tetramethy limidazoline-3-oxide-1-oxylおよび4,4,5,5-tetramethy limidazoline-1-oxylを導入した誘導体、lm-NNとlm-INを合成した。(3)単結晶X線構造解析より、lm-NNはb軸方向に水素結合連鎖を形成していた。ラジカル部位とイミダゾール環は大きく捻れ(48 deg)連鎖間でNO結合が接近していた。lm-NNのモル磁化率は、110K付近で極大を示しスピン間には反強磁性的相互作用が存在した。(2J=_-123cm^<-1>)。この磁気的相互作用はNO結合間の直接的な軌道の重なりで説明され、水素結合連鎖を介してスピン伝達の効果は認められなかった。lm-NN中で不対電子密度がNN部位に局在分布しているためと考察された。(4)プロトン受容性にイミノ基を2つ有するlm-INは、lm-NNに比べ結晶化しにくく構造の詳細は不明であるが不対電子間の相互作用は反強磁性的であった。以上を総合して、水素結合を利用した有機ラジカルの自己組織体の構築法を確立した。