著者
原田 晋 吉崎 仁胤 夏秋 優 清水 秀樹 福田 均 永井 宏 池田 哲哉
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1279-1284, 2005-11-30 (Released:2017-02-10)

【目的】ムカデ刺傷後に全身性の蕁麻疹およびアナフィラキシー症状を呈し, かつムカデ毒のプリックテストが有意な陽性を示した事より, ムカデアレルギーと診断した3症例を経験した.さらに, 過去にムカデアレルギーとハチアレルギーとの関連性について論じた報告が認められたため, これらの症例に対してハチアレルギーに関する検討も加えた.【方法】3症例に対してハチ毒特異的IgEの測定を行い, うち1例ではハチ毒の皮内テストも施行した.またハチアレルギーと診断された別の3症例に対して, ムカデ毒のプリックテストを行った.【結果】ムカデアレルギーの3症例共にハチ毒の特異的IgEが陽性であり, 施行した1例ではハチ毒皮内テストも同様に陽性であった.しかし, ハチアレルギーの3症例ではムカデ毒のプリックテストは全例において陰性であった.【結語】以上より, ハチアレルギー患者のうちのごく一部でムカデアレルギーを包括するといった両者間の関係を疑った.ムカデアレルギーの報告は過去にはきわめて稀であるが, 現実的にはしばしば生じうる現象であると考えられる.また, ムカデアレルギー症例に対しては, 今後ハチアレルギーに関する検討をも加えていく事が必要であると考えた.