著者
古川 薫 吉崎 修
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.291-298, 1978-05-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

ε-カプロラクタムの単純な加圧重合によるナイロン6の連続製造法において, 初期組成と重合条件による反応生成物の特性との定量的相関を見いだすため本研究を行った. 粘度安定剤としては酢酸又はブチルアミン, あるいはこれらの両者を0.05モル比以下で用い, 水分量0.3モル比以下とともに密閉容器中でラクタムを重合した. 十分平衡に達した生成物の物性を分析した. 粘度安定剤とポリマー末端基との間に等反応性を仮定して主反応の平衡定数を求めた. この定数は上の組成の範囲では組成による変化はほとんど見られなかった. 平衡での直鎖状分子数ST, 数平均重合度P, および残存ラクタム量xが平衡定数と初期組成を用いて理論的に導かれた. 得られた理論値は実測値によく一致し, 粘度安定剤と分子末端基の等反応性を仮定した平衡反応の取扱いが妥当であることが示された.