- 著者
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吉崎 貴大
- 出版者
- 東京農業大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2012
本研究は、1) 時計機構の乱れる可能性がある交代制勤務者において、心臓目律神経活動の24時間の概日リズムを評価すること、2) 成人男子学生を対象に食事時刻の違いが心臓自律神経活動の24時間の概日リズムと血中脂質に及ぼす影響について検討することを目的とした。日常生活下における調査では、医療施設に勤務する日勤者(14名)および交代制勤務者(13名)とし、身体活動、自律神経活動、睡眠、食事、眠気、疲労、気分等に関するモニタリングを実施した。その結果、日勤日では、概日リズムに影響する外部刺激(身体活動、睡眠、食事)は交代制勤務者と日勤者との間に有意な差がみられなかった。しかしながら、交代制勤務者は日勤日における概日リズムの頂点位相が日勤者に比べて有意に後退しており、睡眠-覚醒リズムや勤務時間帯との時間関係が適切でない状態であることが示唆された。一方、食事時刻に関する実験的な検証では男子大学生(7名および14名)を対象とした。研究デザインは前後比較試験および並行比較試験とし、2週間にわたって食事時刻を変えることが概日リズムの頂点位相に及ぼす影響を検討した。なお、介入中は1日3回の規定食以外の飲食を禁止し、運動、昼寝の制限を指示した。さらに、起床は6:00、就寝は24:00を維持するよう指示した。その結果、2週間にわたって1日3回の食事時刻を5時間ずつ遅らせたところ、概日リズムの頂点位相が有意に後退した。また、食事時刻を5時間ずつ前進させたところ、食事時刻を変えなかった対照群に比べて概日リズムの頂点位相が有意に前進し、さらには血中脂質が有意に減少した。それゆえ、本研究で得られた知見は、概日リズムの変調を起因とする症状・疾患に対して、食生活を整えることが重要である可能性を示唆しており、将来的に一次予防策を提案する際に、貴重な基礎資料となることが期待される。