著者
山木 克則 小河 久朗 吉川 東水 難波 信由
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.347-351, 2006-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

アマモ場の再生に向けたアマモの苗の大量生産に向けたシステムの構築を行うために, アマモの種子を短期間に高率で発芽させる条件を見出すために発芽試験を行った。試験に用いたアマモの種子は東北地方と関東地方の4産地で採取し, 20℃の暗黒条件下で2か月間保存したものを用いた。試験は, 塩分と温度を一定条件にした水溶液中で行った。塩分は0 (淡水) , 5, 10, 15, 20, 25, 33psu, 設定温度は5, 10, 15, 20℃とした。試験の結果, 全ての産地に共通して20℃の淡水条件 (0 psu) で高い発芽率が見られ, 10日間で60%以上であった。発芽種子をTTC溶液で染色したところ活性が見られた。しかし, 淡水浸漬14日以上では発芽種子に胚軸の生育阻害及び腐敗が見られ30日でほぼ全ての発芽種子が腐敗した。種子の保存期間と淡水による発芽促進効果の関係を調べるために種子の保存期間 (20℃) を1, 7, 21, 30, 60, 180, 360日として発芽試験を行った結果, 保存期間が長くなるほど発芽率が高くなる傾向を示し, 60日以上の保存期間で高い発芽率を示した。