著者
鈴木 慎太郎 松浦 崇行 福田 充 武井 雅俊 久保 定徳 吉本 多一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3629-3633, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
5

Erdheim-Chester病(ECD)は異常に増殖した組織球系細胞が多臓器に浸潤する稀な疾患である.症例は67歳,男性.初診時から既に多臓器の障害があった.副腎皮質ステロイドの漸減中に痰の喀出困難や不整脈を生じ死亡した.剖検所見では,CD68陽性の組織球やリンパ球の浸潤および線維性結合織の増生を心臓,肺,腎臓等に認めた.特に右房における心筋の破壊は著しく,ECD病変による刺激伝導系の傷害が生命予後に影響を及ぼしたものと考えた.