著者
吉本 智信
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.79-85, 1996-12-15

高齢化社会への移行は避けて通れない道であり,公的介護保険の導入は時間の問題となっている。従って,介護保険は一保険会社の問題ではなく,国家的な問題となっているが,どのような仕組みが良いかという事は未だ議論の余地があり,今後十分に時間をかけた国民の合意形成が必要とされている。その時,公平な最低補償,利用者のニーズの多様性,将来にわたる国民負担率等の問題を併せて考えた場合,基本的な部分としての公的介護保険と,それに個人が追加する民間介護保険という図式は有力な候補の一つとして浮かび上がって来る。この図式を具体的に考えていく際の基礎資料として1989年発売以来加入者が約13万人となり既に127例に支払い済みの安田火災の介護保険を問題点も含めて検討する。