著者
寺田 厚 山本 政重 吉村 栄治
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.221-230, 1999-12-28 (Released:2010-07-12)
参考文献数
36
被引用文献数
9 20

健康成人7名に納豆 (50g/日) を2週間摂取させ, 腸内フローラおよび腐敗産物に及ぼす影響を検討した.腸内フローラでは納豆摂取中にBifidobacterium (p<0.05), Bacillus subtillis (B. natto; p<0.001) は有意に増加し, レシチナーゼ陽性clostridia (p<0.05) の菌数と検出率は有意に減少した.また, 納豆摂取中にEnterobacteriaceaeは減少傾向を示し, Bacillus subtillisの検出率は増加傾向を示した.その他の細菌群の変動は認められなかった.短鎖脂肪酸では納豆摂取中に酢酸 (p<0.05), 摂取2週目に総有機酸 (p<0.05) とコハク酸 (p<0.05) は有意に増加した.腐敗産物では納豆摂取中にフェノール, エチルフェノール, スカトール (p<0.05) は有意に減少し, 摂取2週目ではアンモニア, クレゾール (p<0.05) が有意に減少した.pH (p<0.05) は納豆摂取2週目に有意に低下した.以上より, 納豆摂取は腸内フローラの構成と代謝活性によって, 腸内環境の改善と便の脱臭効果が示唆された.