著者
吉治 仁志 福井 博
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.9, pp.1765-1773, 2014-09-05 (Released:2014-09-05)
参考文献数
62

C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス療法の進歩は目覚ましいものがあり,今後多くの症例においてウイルス排除が可能となると考えられる.しかし,ウイルス排除が全例で可能とはならないことや,わが国のC型肝炎患者が今後ますます高齢化することを考えた場合,肝硬変への進展抑制および肝発癌予防といった肝病態進展抑制法の開発はC型肝炎患者の予後改善における重要な治療ターゲットと考えられる.新規薬剤の開発とともに,インスリン抵抗性やレニン・アンジオテンシン系などC型肝炎の病態に関連する既存薬剤を組み合わせて投与する「カクテル療法」による治療が試みられており,一定の成果が報告されている.