- 著者
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吉澤 信
横田 秀夫
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.6, pp.1517-1527, 2015-06-15
2つの画像を境界が自然になるように合成する画像合成問題は,シームレスクローニングやコラージュと呼ばれ,CG分野にて様々な応用があり,その計算方法は重要な研究テーマである.もしも合成する画像間でテクスチャ細部のパターンが異なる場合に,既存のアプローチでは自然な合成結果を生成しないことが知られている.これは,色合は自然に合成できても,テクスチャ細部の不連続性が合成結果の境界を判別可能にするためである.本稿では,画像のテクスチャ細部とベースとなる低周波カラー情報を別々に処理することにより,テクスチャを考慮した画像合成を生成する新しい計算フレームワーク(ポアソン画像類推法)を提案する.提案フレームワークでは,まず画像の細部とベースを新たに開発したエッジ保存フィルタにより分離する.次に,ベースの色合はポアソン方程式を解くことにより補間し,細部は画像類推法と呼ばれる例題に基づくテクスチャ合成法を用いて復元する.提案フレームワークにより,細部のパターンが異なる画像間でも写実的な画像合成に成功した.