著者
吉田 あこ
出版者
実践女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

研究目的:高齢者の家庭内事故死数は一層増加しているが、その因の一つに加齢に伴う眼球水晶体の白内障化による黄変化が起こり、これが空間把握を誤認し、事故を生む。そこで加齢黄変化そのものを一時的にでも矯正する眼鏡開発、つまり、黄色を中和するその補色にあたる青系の透明薄膜の選出が目標である。研究実績:初年度は、高齢者の見えに関する実態調査(1993)から剪定された加齢対応黄透明薄膜を打ち消す青透明薄膜をカラーチャート一万色より、青み組合せ441色をコンピュータのスキャナーで取り込み、441色の透明薄膜を出力した。これを加齢対応の黄透明薄膜を打ち消し、しかも明るさの現象の少ない青系統名薄膜をカラー輝度計で測定し、矯正候補を数種選定した。この矯正効果を高齢者実態調査で用いた21色のカラーチャートを対象に、黄変化後、それぞれ元の色系統に戻るか否かを色差計で測定後、xy-色度図上で比較判定し、その結果、中度黄変化視界をかなり矯正しうる4種類の青系統明薄膜を選定した。本年度はこの薄膜の視野の暗さを補正するために、人間の目を模したカメラに透明薄膜フィルターを装着させ絞りとシャッター速度で補正調整した。さらに、試行対象として住宅屋内外の環境色を含む固有色名事典全色220の元の色への復帰情況を、元の色と中度黄変化色と本研究創出による矯正青透明薄膜使用で各色をカメラ撮りし、色度図並びに輝度率の比較で、元の色への復帰状況を比較検討し、かなりの矯正復帰効果を得た。なお、これら研究成果を日本建築学会や日本生理人類学会・日本ロボット学会及び、人間工学国際会議に発表し、意見徴収を行ったが、今後は現場で試行を重ねる方針である。