- 著者
-
岡本 高宏
吉田 有策
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.1, pp.14-25, 2021 (Released:2021-07-31)
- 参考文献数
- 46
副腎,後腹膜,縦隔に生じた腫瘍はホルモンを産生している場合がある.ホルモン産生腫瘍であることを的確に診断されずに手術を受ける患者は,手術中そして術後に大きな危険にさらされる懸念がある.担当医は,こうした稀な疾患があることを認識し,周術期の安全に努めなければならない.副腎皮質および髄質から分泌されるホルモンを測定して過剰産生の有無を評価するが,皮質系ホルモンではACTHやレニンとのバランスから診断することが肝要である.また,副腎以外の部位(後腹膜,縦隔等)に生じた腫瘍でもノルアドレナリンを過剰産生することがある.カテコールアミン産生腫瘍に対してはα遮断薬投与による周到な術前準備が必要である.コルチゾール産生腫瘍では健側副腎の機能回復までの相当な期間,グルココルチコイドの補充を要する.アルドステロン過剰症では負荷試験で診断を確定したのち,副腎静脈サンプリングにて病変部位診断を行う.