著者
吉田 精次 小西 友
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.205-214, 2015-09-30 (Released:2019-04-06)

本論文の目的は、受診を拒否している依存性物質使用障害の患者の家族を対象としたCommunity Reinforcement and Family Training(以下、CRAFT)プログラムを紹介し、その結果を報告することである。CRAFT群12例、CRAFT拒否群13例を対象に依存性物質使用障害の患者の受診率を追跡した。その結果、CRAFT群の10例(83.3%)で患者が受診につながった。2例は受診にはつながらなかったが、患者の問題行動が改善した。また、CRAFT群の全例において家族自身の生活の質が改善した。一方、CRAFT拒否群においては、患者が受診につながった事例は0例(0%)であった。これらの結果を踏まえ、受診を拒否している依存性物質使用障害の家族に対するCRAFTの効用と今後の課題について考察した。