- 著者
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宇野 泰三
吉田 経之助
- 出版者
- The Society of Polymer Science, Japan
- 雑誌
- 高分子化學 (ISSN:00232556)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.149, pp.448-454, 1957
塩化ビニル (以下VCと略記) のモノマーに酸素を圧入すると, 一部は容易に単量体過酸化物を形成し, 亜硫酸ソーダ (以下SSと略記), 塩化第一鉄酸性亜硫酸ソーダと容易にレドックス触媒になることを知った。しかし, この場合も遊離の酸素は重合を抑制する, また, 酢酸ビニル (以下VAcと略記) の単量体過酸化物はVCの良い重合触媒となるが, メタアクリル酸メチル (以下MMAと略記) の過酸化物は全然触媒とならない。還元剤はSSが最もよく, トリエタノールアミン, ジメチルアニソンでは重合しないばかりでなく, 重合を完全に抑制する, この点が一般に用いられている過硫酸カリ (以下KPSと略記) や過酸化ベンゾイル (以下BPOと略記) の場合と異なっている。乳化剤はラウリルスルホン酸ソーダ (以下Na-LSと略記) が最もよく, 水重合ではほとんど重合しない。重合速度は添加する酸素の量を変えてもあまり影響がない。KPSと比べると非常にわずかなモル量の酸素を添加するだけで重合する。生成ポリマーの<I>k</I>'(Hugginsの係数) は一般に大きく, ポリマーの分岐が他の重合形式の場合に比べて多いことが考えられる。