著者
近藤 和生 松本 道明 吉田 貴司 園田 高明
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.542-547, 2000-07-10
被引用文献数
1 2

本研究では, リチウムに対して高い選択性を期待できる新規な抽出試薬である含フッ素フタロシアニン誘導体 (ヘキサデカ (2, 2, 2-トリフルオロエトキシ) フタロシアニンおよびヘキサデカ (2, 2, 3, 3, 3-ペンタフルオロプロポキシ) フタロシアニン) を合成した. まずこれらの抽出剤によるアルカリ金属の抽出平衡を測定した. 低pH領域ではどの金属イオンもpH依存性を示さず, イオン対の形で抽出され, またリチウムおよびカリウムについては高pH領域ではpH依存性を示し, カチオン交換型の抽出が生じているものと推察された. これらの抽出反応における抽出種および抽出平衡定数を決定した. 高pH領域では両抽出試薬ともにリチウムに対して選択性を示した. この領域でヘキサデカ (2, 2, 2-トリフルオロエトキシ) フタロシアニンによるリチウムイオンの抽出速度を平面接触型撹拌槽を用いて測定した. 抽出速度過程は, 抽出試薬の拡散過程によって律せられていることが推察された.