著者
吉田 靖雄
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. II, 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.51-68, 2004-09-30

『史記』にみえる徐福 (徐市とも、〜前二一九〜二一〇〜) は、不老不死の薬の獲得を始皇帝に勧めて巨費を得たぺてん師として描かれている。しかし中国大陸では、一九八四年に徐福の出身地という土地の発見以来、研究が高潮して二百を超える論文が発表されている。それらは、徐福らが前三世紀、数千の若者・技術者・五穀の種と共に日本列島に到着し、弥生時代を切り開いたと主張している。徐福は偉大な航海者・日中友好の使者と評価されているが、そうした状況を紹介し、かつ『史記』記事の吟味を試み日本上陸説が成立しないと論じる。