著者
名和 利男
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.412-416, 2015

インターネット及び情報通信技術の急減な発展は,外交を含む安全保障や内政的な危機管理に大きな影響を与えている.そして敵対する国家や反社会勢力が,サイバー攻撃という手段で,それぞれの目的を達成しようする傾向が強くなってきている.特に,産業活動の重要な基盤である「電力・エネルギー供給」と物流を支える「運輸・交通網」は,サイバー攻撃の標的となりやすい.しかしながら,当事者のサイバー脅威に関する認識は十分とは言えず,適切性を欠く対策が散見されている.電力・交通網に係るシステムは,情報システムと大きく異なり,長期間に渡る安定運用の確保が求められるため,システムに変更を加えるような行為(セキュリティパッチの適用等)が困難という制約下で,攻撃側の行動特性を理解することにより,適切な対策をとっていかなければならない.