著者
山中 新太郎 名知 博司 大津 なほ子
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.1578, pp.32-33, 2008-07-20

地球温暖化問題を背景に、原油の高騰やバイオエタノールの生産拡大、食品高騰など、地球規模のエネルギー問題が身近な生活に影響を与え始めている。建築の分野でもクリーンエネルギーへの関心は日増しに高まっている。その代表的なテクノロジーが太陽光発電だろう。太陽光発電といわれて、まず思い浮かぶのは、屋根の上に取り付けられている、黒っぽい平面状のパネル。設置場所が限定されてしまうし、デザイン的にもバリエーションが足りない。そんな、太陽光発電パネルのあり方を変えそうな技術が生まれようとしている。そのひとつが「球状太陽電池」である。六角形のお椀型のセルの中に球状のシリコンがセットされ、太陽光の入射角が変わってもしっかりと光をキャッチできるようになっている。これによって曲面上にシリコンセルを配置することもでき、集光率も向上される。こうして出来上がった六角形の美しいシリコンセルが、建築と太陽電池の関係を変えるかもしれない。
著者
名知 博司 山中 新太郎 大津 なほ子 木村 輝 安井 重成 山田 順子
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1579, pp.34-35, 2008-08-20

南米アマゾン川流域に生息するモルフォ蝶は、「生きた宝石」と呼ばれ、世界一美しい蝶と言われている。近年の研究によって、このモルフォ蝶の羽根の色は、色素によるものではなく、羽根表面の不思議な微細構造によってつくり出されていることが明らかになった。われわれの眼には空や海が青く映るように、モルフォ蝶の羽根は光干渉作用により青く発色していた。このモルフォ蝶の羽根の複雑で微細な構造原理から学び、染料や顔料を使用しないで、光により発色する繊維が実用化されている。今回は、人工的につくり出された光発色繊維に秘められたナノテクノロジーについて学ぶ。