- 著者
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向井 志緒子
- 出版者
- Japanese Society for the Science of Design
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- pp.221, 2013 (Released:2013-06-20)
広告や商品パッケージに施されている文字デザインの表現は多岐に渡る。その視覚的要素の強さから,近年,マーケティングの分野においても関心が寄せられるようになり,文字デザインを含むパッケージデザインは企業目標達成に有効なツールだということが明らかにされた。文字デザインは広告や商品に対する印象へ影響を与えるひとつの要因と考えられるが,現状では,商品と文字デザインとの組み合わせはデザイナーの感性に頼られており,明確かつ客観的な指標は無い。そのような限界を踏まえたうえで,本研究では紙媒体に印刷された和文書体フォントに着目し客観的な指標の位置付けの示唆を得ることを目的とした。調査では9種類の和文書体フォント毎に36項目の形容詞対を用いて,SD法による7段階の印象評価に関する質問紙による個別回答を求めた。探索的因子分析(主因子法,プロマックス回転)の結果,それぞれのフォントにおいて3ないし4因子が抽出され,先行研究と同様の傾向の結果が得られた。さらにこの結果を基に,フォントの印象を決める際に重視するポイントとして「親しみやすさ」「活発さ」「安定性」「快適さ」の4つのカテゴリーに分類できた。