著者
向後 朋美
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.299-313, 2018-03-24

本稿では、ことばへの気づきが国語教育と英語教育の連携の基盤となるべきであるという認識のもと、平成29年度3月告示の小・中学校学習指導要領(国語科・外国語科)と小学校の国語科教科書のことばに関する項目を言語学・英語学の観点も交えて考察し、ことばへの気づきを育成するためには、教科書のことばに関する言語材料を表面的になぞるだけでは不十分であることを指摘する。また、「ことばへの気づきワークショップ」の取り組みを紹介し、言語学・英語学で用いられている概念等を用いて教科書の言語材料を再構築したり、補足したりすることで、国語の教科書を利用しながらことばへの気づきを育成することは可能であることを示唆する。
著者
設楽 優子 向後 朋美
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.179-190, 2017-03-24

本稿は、設楽・向後(2015)の2015年4 月の新入生の英語習熟度報告と同年12月の結果を比較する。学科間の違いと習熟度別比率は概ね12月にも保存されたが、英語Ⅰ以外に学内外のプログラムに参加しなかった平均的な学生の習熟度は12月には有意に低下した。CASEC 内の4 つのセクションの得点比率には、学科によって多少特徴的な変化があったものと考えられる。2008年以来全入学者の習熟状況は毎年急激には変化しないので、この習熟度状況を来年度のクラス編成や教科書選定に活かすべきである。CASEC のような精度の高いツールはこれからも必要であり、大学として再び採用されることを希望したい。
著者
井上 久美子 向後 朋美 阿部 史 角田 真二 泉 直子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.109-116, 2016-03-28

【はじめに】情報機器の急速な普及に伴って多数の社会問題や健康問題が表出している。これらの問題解決のために,効果的な健康教育プログラムの立案に用いられるプリシード・プロシードモデルの枠組みが有効であるか,検討を試みた。【方法】本研究では,疫学アセスメントの項目である「行動とライフスタイル」として,女子大学生の情報機器の使用頻度と,通常授業日の1日の生活行動の流れに沿った使用状況をアンケート調査した。【結果と考察】対象者101人の90%以上はスマートフォン(以下,スマホ)を高い頻度で使用し,無料通話アプリであるLINEのチェックと書き込みを,起床時から就寝時に及んで行っていた。アルバイト時には使用が少ないのに対し,授業時間内,あるいは帰宅後から就寝前までの学習すべき時間帯での使用が顕著に見られ,プリシード・プロシードモデルの前提要因である,女子大学生のスマホ使用に対する意識や態度をアセスメントする必要性が明らかになった。また,食事時にスマホを使用する傾向は,特に友人と一緒の昼食時に多く観察され,食行動への直接の影響だけでなく,友人との人間関係の構築にも影響を及ぼすことが懸念された。【まとめ】プリシード・プロシードモデルは,段階的なアセスメントの結果から因果関係を推察し,課題を明確にするために用いるものである。今後は,「環境;疫学アセスメント」として社会環境がスマホ使用者に及ぼしている影響を,「健康;疫学アセスメント」として睡眠障害や心身の健康問題を,さらに「QOL;社会アセスメント」として,スマホを介したコミュニケーションによる人間関係とQOLとの関わりをアセスメントし,解決すべき優先課題の抽出とプログラムの立案をすすめるものである。