- 著者
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吳 炫錫
- 出版者
- 日本スポーツ社会学会
- 雑誌
- スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.29-41, 2018
本稿は、戦後韓国の社会でサッカーを通じ、どのようなナショナルな言説が構築してきたのかを検討したものである。戦後、韓国の社会でのナショナルな言説の特徴は、北朝鮮に対する敵対感の表出である「反共ナショナリズム」、植民地経験による日本に対する敵対感から構築された「反日ナショナリズム」と言える。このようなナショナリズムは、サッカーにもそのまま反映されており、サッカー中継の視聴を通じてナショナリズムの構築がなされてきた。しかし、2002 年W 杯以後にはサッカーを通じるナショナルな言説が大きく変化してきた。これは、既存のサッカーを通じて構築されるという単純なイデオロギー的機能ではなく、消費社会の到来と多様性に基づき、新な形態のナショナルが言説が構築されたのである。このような時代的な変化とともに、サッカーを通じた新な形態のナショナルな言説が構築された。それは、グローバリゼーションという時代的な流れとともに、サッカー選手個人がセレブリティ化されていくことである。すなわち、セレブリティに関する言説がナショナリズムの構築につながっている。本稿ではパク・チソンとソン・フンミンを中心にサッカー選手のセレブリティとナショナリズムとの関係について考察した。サッカー選手のセレブリティとナショナリズムとの関係において、新たな形態のナショナルな言説の生産、サッカーファンダム文化との節合、資本主義との交錯などが発生する。すなわち、サッカー選手のセレブリティ化は、より多様で、複雑な言説を生み出しており、そこではナショナリズムの変容が生じているのである。