著者
原島 省 呉 在龍 姜 聲舷
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.79-90, 2001

海洋環境の変動をモニターするプラットフォームとして,定期航路船舶の連続取水系の利用が有効な手段となっている.主な理由は,観測専用船と異なり,維持経費がかからないことや,多様なフロースルー型の計測手法が適用できることなどであるが,最も本質的な点は,計測頻度が高いこと,長期間持続することが可能なこと,計測の空間的密度を高くできることから,植物プランクトンのブルームなど重要な海洋変動のスペクトルに対応する時空間スケールをカバーできることである.本報告では,国立環境研究所のフェリーによる海洋環境モニタリングの実行例(1991~現在),韓国海洋研究所による同様の実行例(1998年~現在),および諸外国の実行例や計画例を紹介し,フェリーの利用による特記的な成果を示すとともに,今後の課題や発展の可能性について述べる.