著者
周 圓
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = TOYOHOGAKU
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.73(98)-88(83), 2016-12
著者
前田 学 山崎 隆治 藤沢 智美 永井 美貴 周 圓
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.210-218, 2005-09-30 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13

末期皮膚悪性腫瘍 (悪性黒色腫と有棘細胞癌) の2例に対してモーズ法と灸療法の併用を試みた。症例1; 77歳, 男性, 1996年夏より左足第I爪が黒色化し, 1997年5月, 外科で抜爪術施行。6月左鼠径部リンパ節腫脹出現, 悪性黒色腫のリンパ節転移の診断下, 8月18日に当科入院後DAV-feron療法3クール施行, 1998年1月22日に左第1趾切断, 6月より左鼠径部に転移巣数十個以上出現, 腫瘍巣36×30cmを拡大切除・植皮施行, 8月同部に再発, 切除。以後, 再燃・切除を4回施行。鼠径部転移巣に1999年10月よりモーズ法を施行・切除。2000年1月14日に再入院。骨盤内の腫瘍巣は小児頭大, 肺転移出現。1月24日, 鼠径部転移巣に灸3荘施行後, 黒色壊死・潰瘍化し, 同部の腫瘍細胞は消失。易出血のため計5回で中止, 3月9日, 黒色舌苔・カンジダ症併発し, 3月15日心不全で死亡。症例2; 63歳, 男性, 1999年11月右鼻孔部に丘疹を生じ, 2000年3月, 急速に増大, 耳鼻科の生検では良性と判断されたが, 以後増大し, 6月13日当科紹介。有棘細胞癌 (SCC) の診断後, 鼻中隔を含め広範切除。8月よりPM療法2クール施行。2001年4月25日下顎に腫脹出現, 5月25日同部の結節もSCCのため, 放射線60G照射, CF療法2クール施行, 一時的に腫瘍は縮小したが, 深部に癌浸潤し, 手術不可能と判断。3月25日モーズ法を試み, 隆起部は平坦化し, 4月10日に退院後もモーズ法継続。7月16日, 腫瘍巣周辺部の小結節に灸療法併用し, 自宅でも継続。8月6日には腫瘍巣は壊死・痂皮化し, 病理像で壊死化 (+) 。10月より急速に腫瘍巣は増大・易出血性となり, 12月3日再度入院。腫瘍巣は小児頭大壊死性潰瘍となり, 2002年2月23日, 多臓器不全で永眠。灸は文献的にも各種の不定愁訴の改善のみならず, 腫瘍増殖抑制効果も報告されているので, 末期で完治困難な癌症例に対してQOL向上面からモーズ法と灸療法の併用も積極的に考慮する必要がある。