著者
周 金枝 (2007) 周 金枚 (2006)
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究では、防火服着用時の生体負担軽減の方策を探求するため、異なる防火服等着衣時の生体負担の相違について検討することを目的に、消防隊員及び学生を対象に、暑熱ストレス軽減及び活動性の向上をめざした改良試作防火服、試作冷却装置および半ズボンなど異なる着衣条件下で、高温に設定された人工気候室内でトレッドミルによる運動を行った際の温熱負担について、生理・心理的指標の両面から検討した。さらに、改良した防火服、冷却装置及び半ズボンなど異なる着衣条件における着脱衣感、快適性、動作性について質問紙等を用い検討した。トレッドミルによる運動負荷実験では、試作防火服及び試作PCMの着用により、平均皮膚温の上昇がやや抑制されるこが示されたが、直腸温、心拍数及び体重減少量においては着衣条件間に有意な差は見られなかった。一方、心理反応においては、現防火服は、試作防火服及び試作冷却装置の着用よりも、主観申告は、「暑い側」、「不快側」、「湿っている側」になった。さらに、試作防火服、試作冷却装置及び半ズボンにおける活動性について評価したところ、消防訓練活動を行った際に、足の上げやすさの項目で、試作防火服、試作PCM、半ズボン着用条件の方が評価が高かった。しかし、運動負荷テストまたは消防訓練活動を行った際の動作性は、現防火服着用時に比べ、試作防火服、試作冷却装置、半ズボン着用時は、上半身の動きにおいて評価が悪く、脱衣感のアンケートにおいても現防火服の方が軽いという評価であった。これらのことから試作防火服及び試作冷却装置の使用が運動時の身体的温熱負担軽減に大きく関与することはなかったが、心理的な暑さ、不快感の軽減には効果があることが示された。