著者
味呑 憲二郎 新津 洋司郎
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.62-70, 2016-01-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

肝硬変は、肝臓において持続的に炎症が引き起こされることで線維化が進行し、病態が進行した場合には、肝臓がんや肝不全等で命を落とす危険性の高い疾患である。近年、抗ウイルス薬の開発が目覚ましい進歩を遂げてきているが、一度線維化が進行した肝臓の線維を積極的に除去する薬ではなく、抗線維症治療薬はアンメット・メディカル・ニーズとして上市が待望されている。筆者らは、HSP47 siRNAを含有するビタミンA修飾リポソーム製剤の開発を進め、2014年より米国にて治験1b/2を開始、現在、日米欧3極で同時に治験を進めているところである。本稿ではこれまでの開発経緯、および他臓器線維症への応用展開について紹介する。