著者
和宇慶 真 小濱 剛 吉田 久
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55Annual, no.3PM-Abstract, pp.219-219, 2017 (Released:2017-09-13)

脳活動を非侵襲的に計測する手法としてfNIRSが広く利用されている。これは脳神経活動により発生する酸素消費を、近赤外光を用いて血中ヘモグロビン濃度の変化として観測するものである。しかしながら、fNIRS観測信号には生理学的要因によるものや、身体の動きに伴う全身性の血流量変化が含まれる。本研究ではこれらの問題に対し、Yamadaらの分離モデルを用いて観測信号を機能成分と全身成分に分離した。また、先行研究では機能成分の係数をグローバルな値として-0.6に固定していたが、計測部位によって有意な差があったため、全ての係数を数値計算により動的に決定した。このモデルを用いて観測信号を分離した結果、被験者の動きによる大きな血流量変化が全身成分として分離され、機能成分のベースラインが安定した。また、機能成分の係数を固定した場合に比べ、全ての観測信号において相互情報量が小さくなった。この結果は、計測領域やタスクによって最適な係数が異なる可能性があるため、検討の余地があると考えられる。