著者
田邉 美佐子 吉田 久美子 黒澤 やよい 神田 清子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.25-30, 2009

<B>【目 的】</B> 小児期に骨髄ドナーになったきょうだいの経験を記述し, 小児ドナー経験者への看護支援を検討する. <B>【対象と方法】</B> 8歳の時に6歳の妹に骨髄提供をした20代前半の女性A氏に面接を行い, 質的記述的に分析した. <B>【結 果】</B> A氏は骨髄提供について, 躊躇する気持ちや親の期待を感じながらも, 自分の意思で決めたと認識していた. 骨髄提供後は, 妹との一体感を感じるようになり, 妹を見守ってきた. 現在は, ドナーになってよかった, 自慢できることだと捉えていた. <B>【結 語】</B> 小児ドナー経験者は, 現在の状況からドナーになった理由を捉え直すこと, レシピエントのQOLが自己価値観に影響を及ぼすことが示唆された. 思春期・青年期に歪んだ自己存在が認知されないよう, 継続した直接的支援とレシピエントを介した間接的支援の必要性が考えられた.
著者
林 祐介 吉原 聡 吉田 久雄 見川 彩子 林 明人 藤原 俊之
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11613, (Released:2019-11-22)
参考文献数
28
被引用文献数
1

【目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)術後患者における術後早期膝関節可動域が自立歩行獲得期間および在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】TKA 術後患者78 例を対象とした。年齢とBody Mass Index,術後4 日時点の膝関節可動域(自動・他動屈曲,自動・他動伸展),運動時痛と歩行時痛(Visual analogue scale),炎症所見(血清C 反応性蛋白)と術後7 日時点の膝関節伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメーター)を評価し,在院日数および自立歩行獲得期間に与える影響を重回帰分析(ステップワイズ法)にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,在院日数および自立歩行獲得期間に有意に影響する因子は,それぞれ自動膝屈曲可動域と年齢,および自動膝屈曲可動域と自動膝伸展可動域が抽出された。【結論】TKA 術後患者において,術後早期の自動膝関節可動域の拡大は,自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性がある。
著者
近藤 忠雄 上田 実 吉田 久美
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.42-53, 1996-01-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
29
被引用文献数
1 4

Various flower colors are in great part due to anthocyanins. Recently, we have elucidated two new mechanisms for blue flower color development on blue cornflower and blue morning glory. The composition of protocyanin, a blue pigment from cornflower, Centaurea cyanus, was determined to consist of six molecules of succinylcyanins (Sucy), six molecules of malonylflavones (Mafl), one ferric ion and one magnesium ion, [Sucy6Mafl6Fe3+Mg2+]. The blue color of protocyanin was due to the LMCT (Ligand to Metal Charge Transfer) interaction between Sucy and Fe3+. The structure of protocyanin was examined by using Al, Mg-protocyanin. The gross structure is much similar to that of commelinin. The pigment of blue morning glory, Ipomoea tricolor, is an triacylated anthocyanin, HBA. We measured the vacuoler pH of the petal of morning glory by using a proton selective micro electrode. The pHv of the petal of purplish red bud was 6.6 and that of blue open flower petal was 7.7. The anhydrobase anion of HBA must be stabilized by intramolecular stacking. We could solve 80 year's problems, one is about cornflower's pigment and the other is the evidence of the pH theory. In both cases hydrophobic interaction followed by formation of supra-molecule is the key of stabilization of anthocyanidin chromophore.
著者
中嶋 暉躬 安原 義 吉田 久信 上野 弥生 大塚 智恵 浜本 昌子 信森 光子 平井 裕子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.139-147, 1984
被引用文献数
8

本邦産スズメバチ科のハチ毒キニンを単離し, その構造を解析した。すでにわれわれが構造を解析したものも含め, 9種類の本邦産ハチ毒キニンのアミノ酸配列からPolistes属, Vespa属およびVespula属のハチ毒キニンの構造上の特徴を提示した。
著者
安藤 崇仁 下尾 嘉昭 中里 政可 吉田 久博
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.53-61, 2012-08-01 (Released:2012-09-06)
参考文献数
13

歯科治療では浸潤麻酔が頻繁に行われている.しかし浸潤麻酔は患者に強い痛みを与えるため,前処置として表面麻酔が用いられており,口腔粘膜停滞性が悪く,麻酔効果も良好とは言い難い.そこで,表面麻酔薬塗布部の横に円筒形綿花を置き,さらに下口唇を術者が前方へ引き出すことで比較的簡便に表面麻酔薬の口腔粘膜停滞性を向上させる方法(改良法)を考案し,表面麻酔薬を塗布した後に口唇を閉じる方法(従来法)との間で試験を行った.複数の表面麻酔製剤を用い,表面麻酔効果の非使用部位への発現および浸潤麻酔時の除痛効果を検討した.対象は健常成人男女10名とし,試験部位は下顎前歯部歯槽粘膜とした.作用時間1分とし,注射針刺入時と薬液注入時の疼痛をVisual Analogue Scaleで評価した.その結果,改良法では,従来法よりも薬液注入時に良好な除痛効果を示した.また,従来法では1分以内に非使用部位で表面麻酔効果が認められたのに対し,改良法では認められなかった.これらの成績は,表面麻酔薬の口腔粘膜停滞性を向上させることにより副作用が軽減できること,また今回提示した改良法が薬剤の口腔粘膜停滞性向上に有効なことを示唆している.
著者
吉田久一著
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
2017
著者
津布久 咲子 吉田 久雄 林 明人
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.290, 2011

【はじめに】ROM制限に対する理学療法の手技は様々であるが、超音波療法については報告も少なく、また肯定的な意見も少ない.今回、超音波療法を運動療法と共に併用することで、高度なROM制限が改善した症例を担当したので、超音波療法の治療効果についての文献も加え報告する.尚、報告に際しては本人より同意を得た.<BR>【症例紹介】54歳男性.診断名:右膝化膿性膝関節炎.H22.5.8夜間に突如、右膝関節痛出現.5.27体動困難となり、当院に緊急入院となった.5.31関節鏡下滑膜切除・洗浄デブリードメント術施行(~6/3まで持続灌流).6.8理学療法を開始.7.7より超音波療法を開始.9.27理学療法を終了.<BR>【治療経過】<B>開始時</B>画像所見:X-P上、骨関節の明らかな異常所見(-) 炎症値:CRP10.1mg/dl 視診:右膝関節の腫脹(+) 触診:右ハムストリングスの短縮(+),右膝蓋大腿関節の可動性は全方向に認められず 疼痛:右膝関節周囲に常時出現 ROM:右膝屈曲60°伸展-20°移動:NWBでの歩行は疼痛により持続困難で、車椅子利用<BR><B>超音波療法開始時(術後5週)</B>炎症値:CRP<0.3mg/dl 触診:右膝蓋大腿関節の可動性は健側と比して頭尾側に1/2程度、内外側に1/3程度と低下していた 疼痛:右膝関節内側裂隙に荷重時痛(+),右膝屈曲時に膝蓋骨下を水平に走る疼痛(+) ROM:右膝屈曲90°伸展-20°移動:荷重時痛のため1/2~2/3PWBでの両松葉杖歩行<BR><B>終了時(術後17週)</B>疼痛:屋外歩行時に荷重時痛(+) ROM:右膝屈曲135°伸展-5 °移動:独歩・一足一段での階段昇降可能<BR>【超音波療法の設定】治療部位:右膝蓋骨下軟部組織 方法:直接法、温熱モード 周波数:1MHz 強度:1.0~1.5W/cm<SUP>2 </SUP>治療時間:10分 連続性:100% 頻度:2~3回/週(計15回)<BR>【考察】今回担当した症例は、高度なROM制限を呈しており、ROM改善に難渋した.ROM制限の要因として、膝蓋骨下軟部組織の柔軟性低下が関与していると考え、同部位の柔軟性獲得を目的に術後5週目より温熱療法を併用した.超音波療法は、物理療法の中でも特に深達性の温熱効果が得られるため、本症例に適応があると考えた.物理療法の温熱効果に関しては、Lehmannらの動物実験から『軟部組織の伸張性向上に温熱療法は有効である』、沖田らの動物実験から『拘縮の治療として温熱療法と運動療法の併用は有効である』とあるが、臨床においては『温熱効果の有用性を示唆する』といった内容の報告に留まっている.しかし、今回の症例ではROMの改善を得て、さらにADLの改善にもつながった.治癒過程における組織学的変化や退院後の活動量増加など他の要因も考えられるが、他の文献と同様にROM改善の一助として超音波療法も有効であるのではないかと考えられた.
著者
美和 千尋 河原 ゆう子 吉田 久美子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.85-89, 2009
参考文献数
15
被引用文献数
2

本研究は,障害者の入浴介護においてミストサウナを利用することで,介護者の介護負担を軽減できるかどうかを検討した.対象は若年男性10名(平均年齢20歳)とし,片麻痺患者を模擬させてミストサウナと浴槽入浴での入浴介護を行った.介護者の介護負担として,介護時間,筋活動量,血液検査(乳酸脱水酵素酵素,白血球),気分変化(POMS)を測定した.その結果,ミストサウナによる入浴介護は浴槽入浴と比較して,介護負担の指標とした介護時間が短く,介護時間全体の総筋活動量が有意に小さく,乳酸脱水素酵素の不変,疲労気分の軽減が図れた.ただ,白血球数の増加が浴槽入浴ではみられなかったがミストサウナではみられた.このことより,ミストサウナは,障害者の介護における介護者の身体的,精神的負担を軽減させる入浴方法として利用できると考える.
著者
森 美穂子 吉田 久美 近藤 忠雄
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.415, 2004

(目的)ほとんどの花色を担う色素のアントシアニンは、花弁の表層にある着色細胞の液胞に局在する。液胞内の色素濃度は10<SUP>-2</SUP> Mと非常に高く、様々な分子会合により安定化され、かつ色が変化する。我々は、花弁の着色液胞における<I>in vivo</I>花色発現解明に取り組んでおり、今回細胞内での色素の分子会合を明らかにする目的で、花弁および着色細胞の円二色性(CD)を測定し、<I>in vitro</I>の花色再現実験と比較した。<br>(結果)既に我々はネモフィラ(<I>Nemophila menziesii</I>)青色花弁色素がメタロアントシアニンのネモフィリンであることを、構成成分の単離と再合成実験により明らかにしている。Mg<SUP>2+</SUP>-Mg<SUP>2+</SUP>型錯体は紫色だがMg<SUP>2+</SUP>-Fe<SUP>3+</SUP>型錯体は青色を示し、それぞれ可視吸収スペクトルとCDが異なる。生花弁を測定すると乱反射によるノイズのため極大波長を正確に求められない。そこで、吸水させた花弁及びプロトプラスト懸濁液を用いて測定したところ、いずれもMg<SUP>2+</SUP>-Fe<SUP>3+</SUP>型とよい一致を示した。CDには特有の励起子型の負のコットンが認められ、色素同士のキラルな会合の存在がわかった。さらにアジサイ(<I>Hydrangea macrophylla</I>)など数種の花について測定を行ったので合わせて報告する。
著者
吉田 久美 尾山 公一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

花色素アントシアニンの機能性研究、および生合成・膜輸送研究のさらなる展開を目指し、柔軟かつ効率的なアントシアニンの化学合成法の研究を行った。アントシアニンの生合成における鍵酵素であるアントシアニジン合成酵素(ANS)が酸化酵素であることにヒントを得て、配糖化フラボノールの金属還元によるアントシアニン合成を試みた。本反応が、フラボノール体からフラベノール体への還元と次のアントシアニンへの空気酸化の二段階の反応であることを明らかにした。さらに、種々の母核および配糖化様式のフラボノール体へ本反応を適用し、汎用性の高い反応であることを確認できた。
著者
林 祐介 吉原 聡 吉田 久雄 見川 彩子 林 明人 藤原 俊之
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.417-422, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
28

【目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)術後患者における術後早期膝関節可動域が自立歩行獲得期間および在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】TKA 術後患者78 例を対象とした。年齢とBody Mass Index,術後4 日時点の膝関節可動域(自動・他動屈曲,自動・他動伸展),運動時痛と歩行時痛(Visual analogue scale),炎症所見(血清C 反応性蛋白)と術後7 日時点の膝関節伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメーター)を評価し,在院日数および自立歩行獲得期間に与える影響を重回帰分析(ステップワイズ法)にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,在院日数および自立歩行獲得期間に有意に影響する因子は,それぞれ自動膝屈曲可動域と年齢,および自動膝屈曲可動域と自動膝伸展可動域が抽出された。【結論】TKA 術後患者において,術後早期の自動膝関節可動域の拡大は,自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性がある。