著者
柏手 章宏 石田 文彦 島井 博行 和田 克己 阪口 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.659, pp.67-72, 2006-03-10
被引用文献数
3

ヒトがタスク条件に応じて関節スティフネスを調節していることを検証するため,質量の異なる4種の球を掌で打撃する際の筋活動を計測した.その結果,球の質量の増加に応じて手首関節に関わる筋の同時活性度が高まることがわかった.次に,関節スティフネスが球の初速度に与える影響を調べるために,手首関節のトルク生成源を弾性要素を持たないトルク生成要素とした条件と受動的な弾性要素とした条件を設定して数値実験を行なった.その結果,初速度の最大値は前者の方が大きいものの,運動軌道のばらつきによって生じる初速度の変動は後者の方が小さく,また,球の質量が大きいほど後者の方が平均的パフォーマンスが高くなることが明らかになった.以上の結果は,ヒトが平均的な運動パフォーマンスが向上するように関節スティフネスを調節している可能性を示唆する.