著者
和田 和子
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.505-547, 1967-03-31

8種類の織物の低温における損傷について実験的に調査検討した。その要約,結論は次のごとくである。1)試料の処理及び測定試料の処理法: 冷却試料としては-75℃の魔法びん中に20時間投入,繰返し5回処理を行なった。各処理布の損傷度測定: 原布と処理布の強伸度・剛軟度・防皺度・収縮度をそれぞれ測定し,次式により各試料の各変化率を算出し損傷の状況を調査した。[humerical formula]2)低温による織物の損傷低温による織物の損傷としては,低温処理変化率と室温処理変化率との比較で表わした。第12表は繰返し5回処理の総合平均値をもとに表わしたものであるが,この結果次のごとき結論を得た。A)全試料は各性能測定項目別にみても,冷却処理によって変化を受けないもののほうが多い。しかしその内訳を見ると,銘柄別に冷却処理で比較的変化の少ないものを挙げれば,MCR樹脂加工綿布・レーヨンスフ未加工布・レーヨンスフ樹脂加工布・ビニロンで,逆に変化の多いものは,サンホライズ加工綿布・羊毛・ボンネル・アロンとなった。性能項目別では,全測定項目を通じ,概して冷却処理による変化が少なく,特に収縮度においてその傾向が著しい。しかし反面,羊毛・ボンネル・アロンなどの銘柄では,冷却処理で強力・伸度・剛軟度・防皺度にかなりの変化が見られた。B)低温処理による変化の度合は,一般に含水試料の方に多く表われ,石けん分含有試料についてはその表われ方の度合が少なくなっている。しかし,これはあくまで,冷却処理布と室温処理布との比較においてのことであるから,石けんが低温下で各種性能変化の抑制に影響したのではなく,逆に室温下で影響を与えた結果である。C)低温処理による変化の表われ方としては,概して強力変化が大であれば伸度変化が小さく,強力変化が小なら伸度変化が大となるように,その間ではほぼ負数的変化の傾向を表わす。剛軟度変化と防皺度変化との間には,一方の変化が大となれば他方もまた大となり,ほぼ平行的変化の傾向を表わす。今回の測定項目間では,このように強力変化と伸度変化,剛軟度変化と防皺度変化との間では,それぞれ関連的変化の傾向を示すが,収縮度変化は,他の性能と関連なしに表われた。3)日常衣生活への提言[table]羊毛の強力・ボンネル・アロン両試料の剛軟度・防皺度に低温による変化が大きく表われるから,これらが,感触・手触りを尊ぶ衣料だけに,特に注意が望まれる。したがって,感触・手触りなど感覚的性能が要求される衣料の場合には,低温にさらすことは回避しなければならないであろう。しかし,全般的には冷却による損傷は少なく,特に収縮度においては衣料の寸法安定性の上から,低温にさらすことを回避する必要はない。