著者
和田 衣世 Kinuyo WADA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.3, pp.13-28, 2007
被引用文献数
1

本稿は、これまで行われていなかったスリランカの日本語学習者を対象にした言語学習ビリーフ調査の報告である。調査はBALLIを用いて行われ、質問項目は外国語学習の適性言語学習の本質言語学習の困難さ学習とコミュニケーションストラテジー言語学習の動機教師の役割教授法・教室活動媒介語言語学習と文化の関係についての9領域にわたる。調査の結果、スリランカの大学における日本語学習者は、コミュニケーション重視の教授法や教室活動、シラバスを望み、教師依存の傾向が強く、教師に強い信頼と期待を寄せているということが明らかになった。また、この調査の結果をもとに、スリランカの日本語教育の問題点と照らし合わせ、どのような改善が必要かを考察した。現実と学習者のビリーフにはギャップがあり、それを埋めていくことが今後のスリランカにおける日本語教育の改善の鍵になると思われる。