著者
和田 修 喜多 隆
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

光通信の大容量化の要求に伴って100Gb/s超の超高速化が必要となってくるものと考えられる。この際に光信号再生機能(増幅+波形整形2R,時間同期も含めた3R)は極めて重要となるが、簡単かつ実用的なものはまだ実現されてない。本研究では、我々独自の原子層制御量子ドットにより、単一の素子で超高速光信号再生機能を有する垂直構造光信号再生デバイスを目指して、研究を行った。本年度は、量子ドット成長法に関しては、単一ドットの透過電子顕微鏡測定(HAADF-STEM測定)を行って量子ドット構成原子構造の正確な観測に初めて成功し、ドット形状制御における多元パラメータ制御の重要性が確かめられた。また、量子ドットの光学的特性に関しては、多層化量子ドット構造における量子ドット間の電子状態の結合効果を発光特性測定によって検討し、スペーサ層の厚さ(10〜40nm)の制御によって発光波長、強度、減衰時間など光学特性制御が可能であることを明らかにした。さらに、半導体多層膜反射鏡構造と量子ドットを集積化した基礎的な光変調デバイス構造を作製して光学特性を評価して基本的な反射特性を確かめ、この構造が変調特性等の高度な特性の評価に適用可能であることが分った。これらの結果を総合的に考慮し、我々独自の多元制御量子ドットが面型光信号処理デバイスに適用できるものと考える。