- 著者
-
南條 正巳
嚴 澤鎔
庄子 貞雄
- 出版者
- 一般社団法人日本土壌肥料学会
- 雑誌
- 日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.5, pp.559-565, 1992-10-05
- 被引用文献数
-
4
一般農耕地土壌のリン酸吸収係数に交換性Ca^<2+>、Mg^<2+>などの交換性イオンがどの程度影響するかについて検討した。土壌試料はわが国22道県から収集した灰色低地土、グライ土、黒ボク土、黄色土など119点で活性アルミニウム、鉄の含量と鉄の活性度によって、第1群(Al_o+Fe_o/2<1.5かつFe_o/Fe_d≧0.3)、57点;第2群(Al_o+Fe_o/2<1.5かつFe_o/Fe_d<0.3)、28点;第3群(Al_o+Fe_o/2≧1.5)、34点に区分した。1)第1、2、3群の土壌のリン酸吸収係数に対する交換性Ca^<2+>+Mg^<2+>+Al^<3+>による影響はそれぞれ平均36.4、18.2、-0.5%(それぞれ、最大77.5、67.2、28.9%)であった。これらを交換性Ca^<2+>、Mg^<2+>、Al^<3+>のモル比で配分すると第1群試料では24.3、8.4、3.6%、第2群試料では6.0、2.1、10.1%、第3群試料では0.0、-0.2、-0.3%であった。2)第2群の土壌ではリン酸吸収係数測定時に交換性Al^<3+>がリン酸イオンとモル比約1 : 1の沈澱を形成した。3)第3群の土壌ではDCPD、MAPHは沈澱しにくかった。4)正リン酸法によるリン酸吸収係数、BLAKEMORE法によるリン保持量では測定時のpHが低いのでDCPD、MAPHの生成による影響が小さかった。5)地力保全基本断面調査のコンパクトデータベースを用いて主な農耕地土壌のリン酸吸収係数と交換性Ca^<2+>、Mg^<2+>との関係を調べたところ、グライ土、灰色低地土、褐色低地土、黄色土、褐色森林土などではこれらの間に有意な相関が認められたが、黒ボク土では相関が認められなかった。