著者
國井 義郎
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.67-85, 2018-03-31

主要農作物種子法は,稲などの主要農作物の優良な公共種子の開発および普及を公金によって支援する法制度を構築していた。しかし,農薬や化学肥料に強い耐性をもつ遺伝子組換種子が化学企業により開発されたのに伴い,わが国において遺伝子組換種子の普及を目論んで公共種子の開発および普及を支えた主要農作物種子法を廃止することとなった。そこで,本稿では,主要農作物種子法の廃止後,種苗における知的財産保護を目的とする種苗法との整合性を考慮しつつ「優良な種子」を開発し普及させようと試みる制度改革に内在する法制度上の諸問題を考慮した。