著者
國司 悠莉子 浅井 美穂
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.99-104, 2019-03-12

近年、植物質の発酵に関わる「植物性乳酸菌」が注目されており、その中でも甘酒は人工甘味料の代替品としても注目されている。今回の研究では、女性が続けることが出来る健康習慣の1つを提案する事を目的とし、A大学の学生(21~22歳)に甘酒水を摂取する事をライフスタイルの中に取り入れ4週間継続してもらった。結果として、排便については日本語版便秘評価尺度(CAS)の合計得点の平均値に有意差は見られなかったが、ブリストルスケールによる便の形状では、甘酒摂取群10名中4名の便は軟化し、4名が普通便の状態を維持していた。疲労については、青年用疲労自覚尺度の合計得点に有意差は見られなかったが、項目ごとに見ると集中力と身体的違和感の2項目において得点の有意な差が見られた。考察として、甘酒摂取後の便秘尺度の平均得点は低下しており、ブリストルスケールにより評価した便の形状は軟化を示しており、甘酒による便秘改善効果を可能性として否定できず、疲労に関しては、甘酒に含まれるアミノ酸が脂質代謝を亢進し、ビタミン類は脂質や糖質の代謝を高め、疲労改善効果を引き起こした可能性がある。また、疲労を改善することは腸内環境の改善にもつながるため、疲労改善が結果的に便秘改善へとつながる可能性が示唆された。