著者
岡本 健介 山本 まき恵 谷口 敏代
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.49-57, 2018-03-12

本研究は障害者支援施設における不適切なケアの因子構造を明らかにすることを目的とした。中国地方5県の障害者支援施設217 施設を対象とし、生活支援員577名(有効回答率44.3%)を分析対象とした。不適切なケアを「障害者虐待防止法に定義されている障害者虐待とは言えないが、利用者の尊厳やプライバシーを損なう恐れのある職員による言動」と定義し、先行研究を参考に26項目を選定し、探索的因子分析及び検証的因子分析を行った。その結果、障害者支援施設に従事する生活支援員の不適切なケアは、「不当な言葉遣い」、「施設・職員の都合を優先した行為」、「プライバシーに関わる行為」、「職員の怠慢」、「自己決定侵害」の計17項目からなることが見出された。いずれの因子も利用者の尊厳を支える支援が求められている内容で構成され、不適切なケアの延長線上にある虐待防止に役立つと考えられる。This study attempts to determine the factorial structure of inappropriate care in support facilities for the disabled. [Method] The present study examined 577 residential support care workers working in 217 support facilities for the disabled in the five prefectures of the Chugoku Region. The valid response rate was 44.3%. Inappropriate care was defined as "language and behavior by employees that does not rise to the level of cruelty as specified in the Act on the Prevention of Abuse of Persons with Disabilities, but carries the risk of violating the privacy and dignity of facility users." Based on this definition, 26 items were selected using past studies as references and subjected to exploratory and confirmatory factor analyses. This resulted in the generation of 17 items concerning inappropriate care by residential support care workers working in support facilities for the disabled that could be organized into the following five factors: "use of unjustified language;" "conduct that prioritizes the convenience of facility and staff member;" "conduct related to privacy issues;" "negligence of staff member;" and "violations of the right to self-determination." All factors contain elements that suggest the need for supporting the dignity of facility users, and are believed to be useful for preventing acts of cruelty manifested through the extension of inappropriate care.
著者
二宮 一枝 名越 恵美
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.163-168, 2015-03-12

南オーストラリア州の看護師教育は大学(3 年間)で、准看護師はTAFE(18 ヶ月)で行われている。免許は毎年20 時間の継続学修をうけて更新する。 看護師は侵襲性の高い処置を行い、開業助産師は薬剤の処方権を有し、高度実践看護師(専門看護師CNSとナースプラクテショナー)も活躍している。保健師免許はないが、コミュニティではCNSが、州政府の看護行政担当にはコミュニティや看護管理経験等が必要である。小学校では教職員が州のマニュアルに基づき、輪番でファーストエイドを行っている。 州政府は“Nursing and Midwifery Strategic Framework 2013-2015” に基づき、看護の質向上に努めている。アデレイド大学の看護基礎教育はロイヤルアデレイド病院等と連携して Nursing and Midwifery Board of Australia の規定に基づくカリキュラムに沿って行われている。
著者
久保田 恵 井上 里加子 石井 裕 佐藤 洋一郎 横田 一正 岡野 智博 備前市役所食の人財プロジェクト
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.13-25, 2015

本研究の目的は、地域連携協働事業における学生への教育効果と地域貢献事業としての評価をすることである。岡山県立大学では自治体やNPO 等と連携したアクティブラーニングを通じて地域志向を有した専門性の高い学生の育成を目指している。本事業では、備前市において食を通じて市民の健康づくりや食育の推進、また食に関連したなりわいを通して地域の活性化やまちづくりに取り組む市民を取材し、備前市民に発掘した地元の人財を紹介する冊子を作成し、備前市の健康増進・食育の推進に寄与することを目的に実践学修を行った。学習後のレポートやアンケートから到達目標とした地域志向を高めることや基礎的学士力の向上を認識する学生が多くを占めた。また、地域貢献事業として評価するため、参加自治体の職員や取材対象の市民への調査を行った結果、市民への役立ちに加え、参加職員や取材対象者自身の仕事や活動にとっても役に立ったとのアンケート結果が得られた。 以上から、本取り組みは学生への教育目標「地域志向を高める」に沿った成果や協働自治体において本活動の貢献が認められたことから、今後の継続が期待される。The present study aimed to assess the educational effects of "collaborative projects for the promotion of regional cooperation" on students and their contribution to the community. Okayama Prefectural University implements an active-learning program(to provide opportunities for practical learning)in collaboration with local governments and NPOs to train community-oriented students with expertise The project, or practical learning program, was conducted in Bizen City to : promote the health of its citizens and activities for dietary education, interview the citizens involved in the revitalization and development of the community through food-related activities, introduce skilled and competent people to the public, and contribute to the promotion of health and dietary education in the city. According to the reports submitted by students and the results of a questionnaire conducted following the completion of the program, the majority of them became more community-oriented-a learning goal, and there was an increase in their awareness of the importance of improving basic learning skills. Furthermore, a questionnaire survey involving the staff of participating local governments and citizens interviewed was also conducted to assess the program as a community contribution project. According to the results of the questionnaire, the project was not only helpful for the citizens, but it also contributed to the work and other activities of the staff of participating local governments and citizens interviewed. The project yielded results that are consistent with the educational goal : "increasing the community-oriented minds of students", and collaborative local government positively assessed the contribution of the project. Therefore, the continuation of the project is of significance.
著者
網野 裕子 沖本 克子
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-8, 2019-03-12

本研究は、注意欠如/ 多動症(以下、AD/HD)をもつ母親の育児に焦点をあてて文献検討を行い、その育児の特徴と課題を明らかにすることにより、日本におけるAD/HD をもつ母親への育児支援に対する示唆を得ることを目的とした。「AD/HD をもつ母親」「育児」の記載がある25 文献を対象とし、AD/HD をもつ母親の育児の特徴について、類似のものを集めてカテゴリー化した。その結果【子どもに対する否定的なかかわり】【子どもに対する良好なかかわり】【低いモニタリング力】【子どもへの影響】【育児に対する母親のネガティブな知覚】【ソーシャルサポートに対する満足感】の6カテゴリーが抽出された。日本を対象とした研究は2件であった。また、支援に関する研究は1件のみであった。今後、日本において、AD/HD をもつ母親の育児に関する研究の蓄積を図るとともに、支援に関する研究も必要であることが示唆された。
著者
楽木 章子 藤井 厚紀 東村 知子 八ッ塚 一郎
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.149-155, 2018-03-12

養子、養親、および養子の実父母に対して学生が有するイメージに焦点をあて、学生が養親当事者と交流することによって、そのイメージがどのように変化したかを、当事者との交流前と交流後のアンケート調査を比較することを通して明らかにした。分析の結果、①養子の実父母についての批判的なイメージが同情的なイメージに変化すること、②養子についての「かわいそうで心配な」イメージが減少し、これに代わって「その他(自由記述)」の回答が顕著に増加することが見出された。また自由記述の回答の増加を、養子に関するイメージの多様化として捉え、単語の出現頻度、新出単語、単語同士の連関に着目して再分析した結果、「普通」という単語の出現、および、「普通→子ども」「普通→家庭」という連関が新たに生じていることが見出された。このことから、当事者との交流は、学生に養子縁組家庭を身近なイメージをもたらす効果があることが明らかになった。This paper focused on stereotypes of adoptive family in Japan, i.e. adoptive parents, adopted children, and their birth parents. An adoptive mother was invited to talk about her experience to University & College student in 5 classes. The effect of the talk was examined by comparing the pre- and post-class questionnaires. The results revealed that (1) negative images of birth parents changes to sympathetic ones, (2) free description about adopted children in questionnaire significantly increases contrary to decreased pity stereotypes. Focusing of the words in free description, the word "ordinary '" was newly appeared and the word "ordinary" and "children/family" were linked together. It was found that the tales by an adoptive mother made the students feel closer to adopted families.
著者
楽木 章子 東村 知子 八ッ塚 一郎
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.25, pp.75-85, 2019-03-12

家族関係の多様化にも関わらず、今なお、大多数の日本人にとって、「家族とは血縁で結ばれた親子を基本にする」という直結規範(産むことと育てることを直結させる家族観)が、その根底にある。この家族観は、「血縁のない親子をも認める」という分離規範(産むことと育てることの分離を是認する家族観)と対立し、養子縁組家庭の存在を意識的・無意識的に疎外している。本研究では、圧倒的多数派(直結規範)による支配的言説と、これに対する圧倒的少数派(分離規範)の対抗言説を言説領域ごとに検討する。具体的には、(1)学校という空間における支配的言説とその対抗言説、(2)実父母に対する支配的言説とその対抗言説、(3)身近な人々による支配的言説とその対抗言説、(4)メディアによる支配的言説と対抗言説を取り上げ、これらを具体的な事例に即して検討する。
著者
池田 隆英
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.25, pp.37-47, 2019-03-12

本研究は、「新しい科学論」の問題意識に立ち、「学校問題」における「子ども/大人」関係の構図と論理を描こうとするもので、本稿では、「いじめ問題」に関する先行研究の知見を対象にメタ分析し、その位相や配置から成る言説空間を後づけた。まず、レビュー論文27本を対象に、「いじめ問題」の「語られ方」を抽出した。その結果、論者の専門領域や関心領域に焦点を当てた知見にいくつかの傾向が読み取れた。しかし、レビュー論文の知見は、現実の「いじめ問題」に活用するには限界がある。そこで、「いじめ問題」の学術論文(1056 本)を渉猟してメタ分析を行った。先行研究のテーマは、大別して20項目の「下位カテゴリー」、さらに抽象化した4項目の「上位カテゴリー」に分類できた。レビュー論文の知見を比較するため、「上位カテゴリー」である「現象」、「要因」、「防止」、「予測」によって分析すると、レビュー論文の視野が明らかになった。一方、先行研究1056 本を「下位カテゴリー」「上位カテゴリー」で分析すると、「現象」「因果」といった「事後の分析」から「防止」「予測」といった「事前の分析」へと移行しつつあることがわかった。危機管理の問題意識に立てば、「想定外の事態」を回避・軽減するには、「いじめ問題」をめぐる言説を広くとらえ、事態を単純化しないことが重要である。
著者
趙 敏廷 原野 かおり
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.25, pp.127-135, 2019-03-12

本研修は、韓国における社会福祉・高齢者福祉の現状及び日本との違いを学ぶとともに、言葉の壁を超えた国際交流を通じて、主体的に考え、実行することの意義や今後自身の専門知識をどう活かしていくかを広い視野をもって考えるきっかけとなることを目的として企画した。保健福祉学科の学生6 名と引率教員2名で韓国を訪問し、研修を行った。研修のふり返りから得られた成果として、「新たな知識につながる異文化体験」「異文化交流・体験からのきづき」「さらなる異文化学習への動機付け」が確認できた。効果的な学習となるためには、事前準備のなかで学生の意見や希望を反映し、現地の関係者と綿密に打ち合わせをすることが必要であることが示唆された。
著者
松田 実樹 杉本 浩章 上山崎 悦代 篠田 道子 原沢 優子
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.167-176, 2015

本研究は、特別養護老人ホームでの終末期ケアにおける専門職間協働の現状と課題を明らかにし、特別養護老人ホームでの看取りのための専門職間協働のあり方を検討することを目的とした。 調査対象は、終末期ケアに携わる看護師、介護福祉士、社会福祉士(2 名)の計4 名とし、グループインタビューを行った。得られたデータは、内容分析を行いカテゴリー化した。 その結果、専門職間の役割を理解した上での支援、看取りケアに対する認識など10 のカテゴリーが生成された。 現状として、連携と協働を意識したチームケアの試みがされていたが、多職種で情報共有するための仕組みについては、専門価値に基づく思いまで共有するに至っていないことが挙げられた。利用者の状態が変化する中、チームで利用者を支える為には、ケアの背景にある専門職の思いをいかにして他職種に伝えていくかが課題となり、それらを共有、理解できるシステムつくりが求められることが示唆された。This study aims to reveal the current situation and issues of Inter Professional work in End-oflife Care at special nursing homes for the aged and consider the roles of inter professional work. The subjects of the study are four people including a nurse, a certified care worker, and social workers engaged in end of care, and a group interview was conducted with them. The data obtained was analyzed and then categorized. As a result, 10 categories including support based on understanding of the roles of the professionals and recognition about nursing care were generated. Although the interviewed professionals are currently attempting to provide teamwork-based care on the basis of partnership and cooperation, when it comes to information-sharing systems among various professionals, they fall short of sharing their thoughts based on their professional values. Therefore, there exists a need to consider how the thoughts of professionals, that form the basis of care to the aged, are conveyed to other professionals to support users as a team when the situations of the users are changing and that systems on Inter Professional work is required to facilitate such information exchange.
著者
三上 舞 杉山 京 中尾 竜二 竹本 与志人
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.115-122, 2015

本研究の目的は、認知症予防講座の参加者を対象に認知症の人との接触経験の状況と認知症の人に対する態度の関係について明らかにすることである。A 市およびB 市の地域住民112 名を対象に、無記名自記式で回答を求め、統計解析には欠損値のない92 名のデータを用いた。接触経験を独立変数、認知症の人に対する肯定的態度および否定的態度を従属変数とした因果関係モデルを構築し、パス解析を用いて検証を行った。その結果、接触経験は否定的態度と関連が確認されなかったが、認知症の人に対する肯定的態度との間には「現在、介護をしている」ことが有意に関連していた。今後は対象者を拡大し、再検証していくことが課題である。The present study aims to understand the relationship between experience of contact with persons suffering from dementia and attitudes toward people with dementia. A Self-administered questionnaire was distributed among 112 participants in dementia prevention classes in "A" and "B" cities. The data obtained from 92 respondents were analyzed. The relationship between positive and negative attitudes toward dementia and the experience of contact with persons suffering from dementia were estimated. Subsequently, the causal sequence was modeled and analyzed using path analysis. Results did not indicate that negative attitudes significantly influenced the experience of contact with persons suffering from dementia. However, positive attitudes significantly influenced experience of contact with persons suffering from dementia, as these individuals had cared for a person suffering from this disorder. The present study indicated that participants who have cared for a person with dementia demonstrate positive attitudes toward people suffering from this disorder. Further research is necessary with a larger sample size and should be comprehensively reviewed.
著者
倉本 亜優未 谷口 将太 杉山 京 仲井 達哉 竹本 与志人
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.25, pp.65-73, 2019-03-12

本研究は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、CMr)を対象に、認知症に関する知識尺度を検討することを目的とした。近畿、中国(岡山県を除く)、四国、九州・沖縄地方に設置されている居宅介護支援事業所から層化二段抽出法により選定した3,000 ヶ所の事業所に勤務するCMr 3,000名を対象に無記名自記式の質問紙調査を実施した。解析には当該項目に欠損値のない808名分の資料を用い、まず地域住民を対象として三上ら(2017)が作成した認知症に関する知識尺度の交差妥当性の検討を行った。次いで、認知症に関する知識尺度の精度を検討することを目的に、項目反応理論(2母数ロジスティックモデル)を用いて各項目の識別力、困難度および尺度全体のテスト情報量を算出した。その結果、CMrにとって平易な項目で構成されている可能性が否定できないものの、認知症に関する知識尺度がCMrに援用できる可能性が示唆された。
著者
上岡 由華 奥田 美香 名越 恵美
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.27, pp.57-65, 2021-03-12

本研究の目的は、緩和ケア病棟看護師の倫理的関心と「その人らしさの尊重」に関する看護実践を明らかにすることである。研究参加の同意が得られた緩和ケア病棟に勤務する一般看護師13 名を参加者とし、半構造化面接で得たデータを質的帰納的に分析した。その結果、看護師の倫理的関心と「その人らしさの尊重」の看護実践は【患者の存在と歴史を認識】【患者の人としての生活へよせる関心】【その人らしさへ接近するための基盤づくり】【患者に反映されている思いへの接近】【意図しないその人らしさの把握】【共通認識のための情報共有】【患者の希望を叶えるための寄り添い】【患者・家族の優先度の調整】の8 カテゴリーで構成され、[基盤づくり]と[接近と介入]の2 局面が導き出された。これらは看護の基盤となる、関係性の倫理に基づく関心とケアリングであった。「その人らしさの尊重」をするために実践能力を磨くだけではなく、患者に接近できるなど患者の本質を理解する力を養う必要性が示唆された。
著者
趙 敏廷
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.27, pp.9-18, 2021-03-12

本研究は対人援助における自己成長感の概念について概観し、介護領域の自己成長感に関する今後の課題を明らかにすることを目的として文献検討を行った。CiNii を用いて教育領域、看護領域、保育領域、介護領域の自己成長感に関する文献検索を行い、基準を満たした論文54 編を分析対象とした。結果、対人援助における自己成長感の概念や関連要因が概ね確認できた。介護領域の自己成長感については、次の知見が得られた。第一に、対人援助における研究の知見を踏まえて、介護領域における自己成長感の概念について検討する必要がある。第二に、家族介護者を対象とした研究の知見を踏まえて、介護職員に焦点をあてた自己成長感に関する研究が望まれる。第三に、介護職員の多様な背景を考慮した自己成長感について検討する必要がある。今後、介護職員の自己成長感を促進する資料を得るため、介護職員の自己成長感の特徴や関連要因の解明を行う研究が求められる。
著者
住吉 和子 田中 千晶 中村 まどか 山下 祐梨 中尾 美幸 入江 康至 中島 伸佳 山辺 啓三
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.9-14, 2018-03-12

甘酒とブドウ糖液の摂取が血糖値・血中インスリン値に及ぼす影響を確認することを目的に女子大生4名を対象に、甘酒とブドウ糖摂取前と摂取後30分、60分120分の血糖値と血中インスリン値の変化、血糖値と血中インスリン値の時間曲線下面積、インスリン分泌指数をシングルケーススタディで比較した。その結果、血糖値と血中インスリン値、血糖値と血中インスリン値の時間曲線下面積、インスリン分泌指数において、甘酒摂取群とブドウ糖摂取群で統計的な有意な差はみられなかった。4名のうち2名が甘酒とブドウ糖摂取後の血中インスリン値の急な増加がみられ、そのうち1名は血縁に糖尿病患者があることから、糖尿病患者および予備軍は、甘酒を摂取することにより血中インスリン値の増加や血糖値の上昇がみられる可能性があり、血中インスリン値の節約には繋がらない可能性が示唆された。
著者
山本 まき恵 森脇 あき 谷口 敏代
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.117-124, 2018-03-12

【目的】中堅以上の介護福祉士が講師を担うことに関連した「やりがい」の要因を明らかにする。【方法】担当業務の独力遂行が可能な介護福祉職経験5 年以上を中堅介護福祉士とし、介護福祉現場での本務の傍ら、研修会の講師を担っている中堅以上の介護福祉士9名を対象とした。50 ~ 60分程度の半構造化面接を行い、SCAT(Step for Cording and Theorization)法を用いて分析した。【結果】「受講生が現場で頑張る姿や成長している姿に触れると、後継者育成に貢献出来た自負がある」「講師をすることで、自分の現場での指導の質が上がり、全体のスキルアップにつながる。担当講義内容は、自身の介護福祉技術向上の機会となる」「外部講師の役割を担うことへの上司や職場などから理解ある環境がある」などの17項目の理論記述が抽出できた。【結論】講師役割は中堅としての自負や存在価値を実感していた。上司や職場管理者の理解ある環境がやりがいにつながっていることが明らかになった。[Purpose] This study attempted to elucidate factors related to worthwhileness among professional care givers ranked mid-level and above who experienced being an instructor.[Method] The present study examined nine certified care workers ranked mid-level and above who teach training workshops in addition to their regular job at care facilities. Mid-level was defined as persons with five years or more of work experience who are capable of discharging their duties independently. Semi-structured interviews lasting about 50 to 60 minutes were analyzed using the Steps for Coding and Theorization method.[Results] Analysis produced a total of 17 theoretical description including the following items: "I feel proud of my ability to contribute to the development of successors when I see my students working hard and growing in the workplace;" "being an instructor enhances the quality of my supervision of my workplace and my overall skills, and the contents of my lectures provide an impetus for improving my own care techniques;" and "my superiors and workplace express understanding toward my role as an instructor or a visiting lecturer."[Conclusion] Through their experiences as instructors, participants realized a sense of pride and meaningfulness as a certified care worker ranked mid-level and above. Furthermore, an association was observed between worthwhileness and understanding among superiors and managers at workplaces.
著者
桐野 匡史 出井 涼介 松本 啓子
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.65-73, 2015

本研究は、家族介護者支援に向けた基礎資料を得ることをねらいに、在宅で高齢者を介護する家族のソーシャル・ネットワークを類型化し、その特徴について明らかにすることを目的とした。A 県内の居宅介護支援事業所(53 事業所)を利用する家族介護者287 名に対し、無記名自記式の調査を実施した。調査内容は、家族介護者および要介護者等の基本属性等およびソーシャル・ネットワークで構成した。クラスター分析の結果、家族介護者のソーシャル・ネットワークのタイプは「平均型」、「孤立型」、「充足型」の3 つに類型化された。とりわけ、「孤立型」は「充足型」と比較して、男性介護者の占める比率が高く、社会参加活動が低く、現在の暮らし向きが不良であった。今後は、社会的に孤立しやすい家族介護者への支援の拡充が求められる。
著者
原野 かおり 出井 涼介 桐野 匡史 谷口 敏代 中嶋 和夫
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.101-107, 2015

本研究は介護技術に関する測定尺度を開発し、その妥当性と信頼性を検討することを目的とした。 X 県内の介護保険施設に従事する主任および管理者を対象にインタビューを行い尺度の原案を作成した。その後X県内すべての特別養護老人ホームおよび老人保健施設に勤務する介護福祉士を対象に郵送法による自記式質問紙調査を行った。統計解析では「介護技術評価尺度」を構成する10 領域を第一次因子、介護技術を第二次因子とする10 因子二次因子モデルを仮定し、因子構造の側面から見た構成概念妥当性を確認的因子分析により検討した。分析には各項目に欠損値を有さない750 人分のデータを使用した。「介護技術評価尺度」の10 因子二次因子モデルのデータに対する適合性及びCronbach のα信頼性係数は統計学的に支持された。「介護技術評価尺度」は、介護関連施設等に従事する介護労働者の介護技術を測定可能な尺度であることが示唆された。We aimed to develop a care technique scale and assess its reliability and validity. [Method] We conducted interviews with chiefs and administrators who have been engaged in long-term care insurance facilities in X prefecture to create a draft of our scale. Subsequently, we conducted self-administered surveys through mails for care workers in special nursing homes and healthcare facilities for elderly people in X prefecture. In the statistical analysis, we created a model with 10 second-order factors, where 10 regions comprising the care technique scale were set as the first-order factor and the care technique as the secondorder factor. We also examined the validity of the constructive concepts observed from the viewpoint of the factor structure that was based on the confirmatory factor analysis. We used data from 750 subjects with no missing values in each item comprising the analysis. [Results] The adequateness of the data for our 10 factor second-order factor model and Cronbach's coefficient alpha of our care technique scale had a statistically acceptable level.[Discussion] We showed that our scale could measure the care techniques of care facility staff members.
著者
森永 裕美子 難波 峰子 二宮 一枝
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.57-65, 2014

本研究は、育児期の父が、どのように" 父らしく" なるのか、父自身の内面(意識)と行動から明らかにすることを目的に、3 歳6 か月児をもつ夫婦11 組のうち父を対象に、父自身が" 父らしくなったと感じたところ" についてインタビューした。 その結果、「母とのやり方の違い」、「仕事か育児か優先順位への迷い」、「父の家事・育児に対する考え」、「母に対してとる配慮」、「父自身で抑制」「父としての家族への責任」、「父としての子どもとの関わり」、「子どもの直接的反応への感情」、「子どもがいることで経験する慈しみ」の9つのサブカテゴリ、『父の中で葛藤する』『バランスをとる』『父として役割を遂行する』『父として実感する』の4つのカテゴリ、【父が折り合いをつける】と【父として自覚する】という2つの中心的概念が抽出された。そしてこれら2 つの中心的概念は、父の内面(意識)と行動から父が父らしくなる一因であることの示唆を得た。We examined how fathers involved in child care became like a father from their awareness and behavior as fathers. Semi-structured interviews were conducted with 11 couples of parents who had a 3.5 year old infant supposed to receive a routine medical examination and completed a questionnaire when the infant was 3 and a half years old.Fathers were asked when they actually felt they had become like fathers. Analysis identified 9 subcategories related to changes of awareness and behavior as fathers: Difference in child care between father and mother; Dilemma between work and childcare; Image of a father doing housework and child care; Thoughtfulness to mother; Self-restraint; Responsibility to family; Relationship with the child; Feelings about reactions from the child; and Affection experienced by having a child. The subcategories were classified into 4 categories: Inner conflict; Keeping psychic equilibrium; Playing a fatherly role; and Having a real sense of fatherhood, and the two central concepts: coming to compromise and awareness were identified. And these two central concepts got the suggestion of being the cause that father came to seem to be father from the inside (consciousness) and an action of father.
著者
米原 あき 谷口 敏代
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.133-143, 2015

【目的】認知症対応型共同生活介護(グループホーム)管理者におけるサービス評価の認識や理解度を明らかにすることを目的とした。【方法】A県某市にあるグループホームの管理者4名に対し、半構造化面接を実施した。主な調査内容は、サービス評価制度についての理解、サービス評価の方法、評価機関等についてである。面接内容をKJ法の手法を用いて分類・分析した。【結果】サービス評価に対する認識を6 カテゴリーと13 のサブカテゴリーにまとめた。管理者はサービス評価受審について、必要である・ケアを見直す機会と捉えながらも、評価方法や評価項目に疑問を感じながら受審しており、評価機関や評価調査員の資質向上への期待があることが明らかになった。効果や理解は支持しながらも、評価方法や項目、受審費用へ疑問を抱いていた。【考察】適正な受審価格および評価調査員の資質向上が課題である。Objective: The objective of this study was to investigate the perceptions of managers of group homes for elderly dementia patients and their level of understanding for service evaluation.Methods: Semi-structured interviews were carried out with four managers of group homes for dementia patients . The survey questions were designed to ascertain the thoughts of managers, and covered issues such as their understanding of evaluation and their thoughts about it, whether evaluation was useful for improving the level of service and training the staff, and whether they perceived it as an imposition.Results: Interview content was categorized and analyzed by the KJ method, and organized into six categories and 13 subcategories. Although the managers understood undergoing service evaluation as necessary and an opportunity for care review, they had doubts about the evaluation methods used and the items covered, and expressed questions about the quality of the evaluating agencies and evaluators. Conclusion: Our study showed that while managers were supportive of and understood the effectiveness of service evaluation, they had doubts about the evaluation methods used and the cost involved, and would, in addition, like to see qualitative improvements on the part of evaluating agencies and evaluators.
著者
山本 浩史
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.123-132, 2015

本稿では我が国の戦前期における社会事業施設運営管理論を探る手がかりとして、中島千枝の「社会事業の経営組織観」を考察した。その内容は、当時の社会事業施設の経営において、中島が参考になると考えた事項や理論を列挙したものであり、深く考究がなされたものとは言い難い。しかし、経営管理が重要視されてこなかった当時の社会事業に一石を投じたものであり、科学的視点の導入(経営学的視点)を提案したものとして評価される。