著者
國定 美香
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-8, 2011

目的:本研究では、介護職員の負担度と達成度について介護業務との関連性を明らかにする。さらに介護業務ごとの負担度と達成度が、介護労働時間や要介護度とも関連性があるのかについて検討する。方法:介護老人福祉施設6施設の介護職員209人を対象に、入所者に対して何の介護業務を何分間、実施したかについて記録する自計式タイムスタディ調査を実施した。同時にその負担度と達成度について、主観的に5段階の評価で介護職員に記載してもらった。結果:介護業務の中で、負担度が強いのは行動上の問題への介護であり、達成度が強いのは機能訓練であった。またSpearmanの相関により、介護労働時間の増加と対象者に直接関わらない業務の負担度のみに中程度の相関が認められた。負担度と達成度では、10項目の介護業務の内、7項目の入浴清潔保持整容更衣、医療、移動移乗体位変換、食事、機能訓練、対象者に直接関わらない業務、社会生活支援において中程度の相関が認められた。なお、負担度と達成度と要介護度には相関が認められなかった。結論:介護職員は、介護業務に負担を感じながらも、提供したサービスに対して仕事の達成を感じている。しかし、認知症高齢者への介護の負担は強く、専門的知識の向上による達成感が求められる。