著者
國崎 哲 牧野 圭祐
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.360-365, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
16

症例は71歳女性.56歳時に2型糖尿病と診断され食事療法と経口糖尿病薬にて治療されていた.入院2年前より全身に掻痒疹が出現し,近医皮膚科にてII群クラスのステロイド外用薬が開始となった.入院1カ月前までHbA1c 7 %前後で推移していたが,掻痒疹が増悪したため近医皮膚科に入院となる.入院中にI群クラスのステロイド外用薬へ変更となり,約3週間の入院加療後退院.退院翌日に当科再診した際に随時血糖803 mg/dLと高血糖を認めたため入院.入院精査の結果,1型糖尿病発症,悪性腫瘍,感染症等の関与は否定され,ステロイド外用薬により血糖悪化をきたしたものと診断した.ステロイド外用薬は局所投与では,吸収効率が低いため内臓への作用をきたすことは稀とされているが,本症例のように皮膚バリア機能の障害を認める症例に,高力価のステロイド外用薬を使用する際は,血糖悪化に注意する必要がある.