著者
土亀 直俊
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.28-35, 2013 (Released:2013-02-15)
参考文献数
16

バリウムによる胃がん検診後の誤嚥の問題について検討した。当センターでの職域を対象とした検診では, 全く見られなかった。しかし地域を対象としたものでは, 少なからず経験した。70歳を越える高齢の男性に多くみられた。しかしこの年齢の一般人の肺炎の80%は誤嚥性肺炎である。バリウム誤嚥例のほとんどは無症状であり, 肺炎などの症状を来す事は経験しなかった。検診において誤嚥の確認は非常に難しく, またその後の対応のやり方で受診者のみならず, 検診施設での大混乱をまねいている。検診後の説明のやり方を今後は工夫しないと安全なバリウムによる検診とはほど遠くなる可能性がある。