著者
土井 将登 阿多 信吾 岡 育生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.481, pp.59-64, 2009-03-05

P2Pファイル共有システムでは,負荷分散や検索効率の向上を目的としたコンテンツのキャッシュ(複製)が行われている.ピアのキャッシュ容量は有限であるため,時刻やアクセス頻度によってキャッシュ内容の更新が行われている.しかし,コンテンツへの要求の時間的傾向(トレンド)を考慮したキャッシュ内容の更新は行われていない.そのため、有効に活用されることのないキャッシュが残存するという問題が起こることとなる.そこで、トレンドパターンを考慮した,効率的な新しいキャッシュ置き換えアルゴリズムを考案する必要がある.本稿では,トレンドパターンを考慮した新しいキャッシュ置き換えアルゴリズムを提案するために必要となる,P2Pファイル共有システムにおけるトレンド分析を行う.そのためにまず,P2Pファイル共有システムをクロールし,P2Pファイル共有システム上を流れる検索クエリの計測を行う.さらに,計測した個々のクエリの時系列推移データに対して離散フーリエ変換(DFT)を適用することにより,個々のクエリの時系列推移パターン間の非類似度を導出し,階層的クラスタリングによりトレンドパターンの分類を行った.その結果,P2Pファイル共有システムにおけるトレンドパターンは大きく4種類に分類できることが分かった.
著者
土井 将登 阿多 信吾 岡 育生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.463, pp.139-144, 2010-03-04

P2Pファイル共有システムにおいてコンテンツへの要求の時間的傾向(検索トレンドパターン)が,将来のコンテンツに対する要求を予測するために重要となっている.コンテンツに対する将来の要求を予測することは効率的なキャッシュの利用などにとって重要であるが,検索クエリに使用されるキーワードの性質によって検索トレンドパターンは大きく異なってくるため,検索トレンドパターンの正確な予測は難しい.そこで検索トレンドパターンを分類し,キーワードがどの検索トレンドパターンに属するか識別することがトレンドパターンの予測に有効である.我々は以前の研究で離散フーリエ変換及びWard法による検索トレンドパターンの分類方法を提案した.本稿では,その分類結果に基づき計測された検索トレンドパターンの統計的特徴から自動的に検索トレンドパターンを識別する方法を提案する.その結果,88.3%という高い確率での識別が可能であることを示す.