著者
土井 洋平 下村 明弘 猪阪 善隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.477-485, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
9

スクロオキシ水酸化鉄は強力な血清リン低下効果を示す薬剤であるが, 透析患者のリン管理において服薬アドヒアランスも重要であるとされている. 今回スクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠から顆粒剤へ切り替えた患者を対象にアンケート調査を行い, 臨床検査所見の推移についても検討した. 対象は92例で85例 (92.3%) が3か月以上切り替え後顆粒剤を継続していた. アンケート調査からは顆粒剤のほうが飲みやすく, 指示された用法・用量通りに服用できる患者が増加することが示唆された. 臨床検査データに関しては血清リン濃度を含めた骨ミネラル代謝, 鉄代謝パラメーター, ヘモグロビンなどに臨床的に有意な変動を認めなかった. スクロオキシ水酸化鉄顆粒剤はチュアブル錠と比較して臨床検査値に大きな変化はなく, 服薬アドヒアランスを考慮すると有用である可能性がある.