著者
土居 文人
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本で最初に出版された和語の語源辞書、松永貞徳『和句解』(1662年刊)の研究及び近世に執筆・出版された語源研究書・語源辞書の研究を行った。『和句解』は、見出し語が近世初期に出版された易林本系の節用集(横本『二躰節用集』のグループに属する節用集)から和語を抄出して立項したものであることを証明した。また、『和句解』の語源説に吉田神道の語源説が影響していることを、清原宣賢〈後抄本〉『日本書紀抄』所載の語源説との比較から証明した。また、『和句解』の「日常用語を含めた和語を網羅的に収集して見出し語として立項し、和文の語釈(語源説)を記す」記述形式が、中世の辞書と歌学書の記述形式の総合であると指摘した。