著者
土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.19, pp.p9-24, 1978-03

土壌病害虫に複合抵抗性である,帰化刷物のアレチウリを,ウリ科果菜の台木として利用した場合の栽培上の特性を検討した。1.アレチウリはキュウリとスイカにつぎ木親和性であるが,シロウリとメロンには不親和であった。2. アレチウリ台木のキュウリは,低温期を経過する作型ほど生育を増進し,増収する。高温期を経過する作型では,慣行のカボチャ台木と同等であり,周年栽培が可能である。3. アレチウリ台木のキュウリの養分吸収量は,慣行のカボチャ台木にくらべ,各要素とも明らかに多かった。4. アレチウリ台木のキュウリの肥料反応はカボチャ台木のように敏感ではなく,元肥の施用量を20%節減しでも生育は変わらなかった。5. アレチウリ台木のキュウリの夜温管理は,カボチャ台木にくらべ,2~3℃下げることができた。6. アレチウリ台木のキュウリの細胞液の浸透圧は,カボチャ台木にくらべ,明らかに高く耐寒性も強かった。7. アレチウリは耐病性やつぎ木親和性などの台木特性に採種地間差があり,誉田系統がすぐれていた。
著者
土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.19, pp.p9-24, 1978-03

土壌病害虫に複合抵抗性である,帰化刷物のアレチウリを,ウリ科果菜の台木として利用した場合の栽培上の特性を検討した。1.アレチウリはキュウリとスイカにつぎ木親和性であるが,シロウリとメロンには不親和であった。2. アレチウリ台木のキュウリは,低温期を経過する作型ほど生育を増進し,増収する。高温期を経過する作型では,慣行のカボチャ台木と同等であり,周年栽培が可能である。3. アレチウリ台木のキュウリの養分吸収量は,慣行のカボチャ台木にくらべ,各要素とも明らかに多かった。4. アレチウリ台木のキュウリの肥料反応はカボチャ台木のように敏感ではなく,元肥の施用量を20%節減しでも生育は変わらなかった。5. アレチウリ台木のキュウリの夜温管理は,カボチャ台木にくらべ,2~3℃下げることができた。6. アレチウリ台木のキュウリの細胞液の浸透圧は,カボチャ台木にくらべ,明らかに高く耐寒性も強かった。7. アレチウリは耐病性やつぎ木親和性などの台木特性に採種地間差があり,誉田系統がすぐれていた。
著者
川上 敬志 青木 宏史 土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.31, pp.p55-72, 1990-03
被引用文献数
1

イチゴの夜冷育苗において,処理温度,品種と処理期間,処理開始時の苗の大きさおよび体内N濃度などが花芽分化および収量様相にどのような影響を及ぼすかを検討した。1. 9月初旬から夜冷処理を開始する場合,花芽分化の誘起には10℃一定で処理するのが最も有効であった。2. 夜冷処理により花芽分化に要する日数は,高温期(8月)では長く,日長が短く,また気温が低下してきた9月初旬からの処理では短くなった。また,所要日数は品種本来の花芽分化期の早晩性と対応し,夜冷処理の時期にかかわらず早生品種ほど短縮された。3. 1シーズン2回施設を利用する場合,前期処理(第1回目)の年内収量は著しく増加したが大玉果が少なく,3~4月の後半収量は少なかった。一方,後期処理(第2回目)では大玉割合が高まり,全期収量も多かった。4. 夜冷育苗では,処理開始時の苗の大きさによる花芽分化期の早晩,開花期における生育量,頂花房の開花数および収量などの差はほとんどなく,むしろT/R率の影響が大きかった。処理終了時のT/R率が同程度であれば,大苗ほど定植後の生育および初期収量が優った。5. 夜冷培地への施肥は,苗の生育促進に対してほとんど効果はなかった。しかし,苗の体内N濃度はやや高まり,開花期もやや早まった。また,夜冷処理開始前の苗の体内N濃度は,高いほど花芽の発育段階が進んでおり,早期収量も多かった。したがって,夜冷育苗では処理開始前の窒素吸収抑制手段は不必要であり,処理期間中は根傷みを起こさない程度の施肥は有効である。