著者
早川 勲 土田 富穂 竹村 信彦 藤原 一枝 青柳 訓夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.182-190, 1983-05-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
23

外水頭症は脳室外閉塞性水頭症, 硬膜下水腫, 硬膜下液貯留等と同一の疾患単位として扱われているが, 厳密には交通性水頭症の初期もしくは軽症状態といえよう. 著者らはCTで確認し得た頭蓋内・脳外低吸収域を有する48症例中, 頭囲拡大を示す28例につき検討した. 初診年齢は87%が1歳未満, 性比は2: 1で男児に優位だった. 臨床的には中枢神経症状を欠くものが最も多 い (35.7%) が, 運動発達遅延 (25%) や精神発達遅延 (17.9%) もみられた.CT上軽度脳室拡大と判定されるものが少なくないが, cerebroventricular indexによれば脳室拡大はむしろ少ない.RIもしくはMetrizamideによる脳槽撮影では髄液循環遅延を示唆した. 髄液圧は恒常的高圧を示さず, 持続終夜圧モニターでのみ間歇的高圧期がみとめられ, 成人のNPH様パターンを示した.予後は良好で初診後9ヵ月前後でCT上改善をみた. 内水頭症への移行は1例でのみうかがえた. 診断, 治療方針につき述べた.